どうもこんにちは、管理人のけいすけです。
仁義なき抗争を繰り返してきたネットと著作権ですが、2021年1月に日本の著作権法が改正されたことをご存じでしょうか?
何かと海賊版やテレビのキャプチャーと縁が深い5ch民にとっても他人事ではなく、施行当日は5chがざわつきました。
著作権法改正による5chへの影響とは?まとめてみます。
多くの5ch民が心配する今回の著作権法改正について、その骨子や影響をまとめてみることにしました。
ネットを使う全ての人に関わる問題ですので、ぜひお読みください。
2021年1月の著作権法改正とは?
それでは、今回の著作権法改正の実態と、それに対するネットの反応を見てみましょう。
2021年1月の著作権法改正の骨子
令和2年(2020年)6月12日公布の「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」では、以下の3点について改正されました。
- インターネット上の海賊版対策の強化
- 著作物の円滑な利用を図るための措置
- 著作権の適切な保護を図るための措置
ちなみに、発表にあたる「公布」は2020年6月ですが、改正後の法律の効果は項目ごとに2020年10月もしくは2021年1月からです。
法律専門サイトのような内容の詳しい解説は割愛しますが、主な目的は以下の通りです。
- 侵害コンテンツのダウンロード違法化
- 著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化
- アクセスコントロールに関する保護の強化
主に今までの法律では対処ができていなかった、インターネット関連の手続きに対するフォローが大勢を占めています。
極端な話では、著作者の了解を得ていない違法アップロードされたコンテンツを「ダウンロードしただけ」で罪となります。
ただし、違法にアップロードされたことを「知りながら」ダウンロードするという、「悪気」の有無も要件に入っている為、末端の消費者達がそう心配することはありません。
また、著作権を侵害された側が訴えを起こす場合、従来の法律では証拠収集・犯人の情報開示までの手続きが慎重過ぎるほどでした。
その手続きの煩雑さは、被害者が経済的・精神的に諦めざるを得ないほどでしたが、今回の法改正でそういった手続きの簡略化が行われています。
加えて、今まではシリアルコード等を利用した最新のライセンス認証が法的な保護対象から漏れていました。
具体的に削除された文面(保護対象になれる条件)は以下の通りです。
著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに
レコードって…有料放送とかオワコンだし…って思いますよね。
法律の世界では「書いてない」ものは「存在していない」ものとして保護の対象から外されてしまいます。
今回の法改正で上記の文面がカットされたことで、今後新たに登場する様々な認証技術がつまはじきにされることを防止しています。
ざわつく5ch民の声
改正著作権法が施行された2020年10月や2021年1月の当日は、5chに様々なスレが立てられ、ざわつきました。
- 改正著作権法施行きたあああああああああ
- 【悲報】明日から施行される著作権法改正がガチでヤバい アニメアイコンにすると2年以下の懲役または200万円以下の罰金の刑事罰
- 【緊急速報】今日から改正著作権法施行!!!5chに貼られた漫画のページダウンロードしたら即逮捕!!!
スレの内容を覗いていくと、改正著作権法に怯える者と、実際の運用を想定して冷静な分析を行う者が存在します。
「怯える者たち」
- Googleの画像検索した奴も逮捕される可能性があるのか
- アニメアイコンも禁止ならネトウヨ涙目だな
- ネットを見てるだけで誰でも恣意的に逮捕できる可能性が高くなったわけだけど理解してるのかね?
- 「お前は思わなくても俺が思うからアウト」これが成り立つ世界だぞ
- 警察が「これ違法じゃね?」って思っただけで捜査出来ちゃうんだろ?
「冷静な者たち」
- 運用としては結局親告罪になるよ
- 「重過失を含めない」と書いてるので検挙する側が思うだけじゃだめ
- 濫用せずに額面通りの運用をするなら著作権者の権利を守る良い法律だからね
- 一応確認してみたけど「軽微なもの」は問題ないようだな もっともどの程度が軽微なのかは曖昧ではあるが
- まあ原則非親告罪だからね 要は儲けようとして他人の著作権を侵害しない限りそんなに変わらないよ
5chがこういった法改正や法の運用にここまで反応するのは、過去に5chの住人であったアニメオタクやプログラマーといった層の中から、インターネットに無理解な警察・検察の恣意的な法解釈で実際の逮捕者が出たことがあるからです。
更には、それらの逮捕者が冤罪であったことに、より強い拒否反応が出ています。
過去のそういった冤罪事件が問題化し、警察・検察の捜査手法に世論の批判が集まった現在では、そこまで酷い事例が生まれる心配はないと考えられます。
しかし、インターネット黎明期であったつい20年前には、5ch民に代表されるインドア系を「キモい奴ら」と決めつけた、人権を軽んじる捜査が横行していました。
怯える者・冷静な者の双方が根底に持つ、冤罪に繋がるような「可能性を生み出しただけでアウトなんだよ」という懸念が、5ch民の共通認識でしょう。
5ch以外ではほとんど話題にならず
このような5ch民の反応に対し、5chの外では改正著作権法はほとんど話題に上がっていません。
世間がコロナ禍の只中にあって関心が薄かったというのもありますが、こういった話題に敏感であるはずのTwitterでも言及は限定的でした。
これは、著作権者の保護・インターネット時代への対応という、改正著作権法の趣旨は基本的に良いものであり、警察・検察の恣意的な解釈は別問題であるということが大きいでしょう。
先述のTwitter民の間では「いかにクリエイターへ利益を還元するか」という点への関心が高く、俗に言う「お布施」という言い回し、テレビ局・広告代理店・制作委員会といった中抜きに対する批判の方が強い論調になっています。
インターネットでグレーゾーンのまま扱われていた違法アップロードは本来は排除すべき存在であり、その点に言及した改正著作権法は特に問題がないものと考えられているようです。
心労がたたっている5ch民についても、基本的にこの考え方に沿ってしまって良いでしょう。
今回の改正で消滅したサイト
今回の著作権法改正により、ネット上での大きな影響と考えられるのは、まとめサイト大手「ネイバーまとめ」の閉鎖です。
以前より複数の著作権者からパクリ被害を訴えられながらも、ネット上のアーカイブとして支持を受けていたサイトでした。
それが2020年9月30日(改正著作権法の施行前日)という時期に閉鎖した理由の一つに、今回の法改正があったのではないかと言われています。
インターネットは元々「丸写し」と「引用」の境界が曖昧で、まとめサイトは旧来の著作権法では「法の穴」となっていました。
今回の著作権法改正によって、インターネット・デジタルデータの解釈について明文化されたことで、そういった法対応へのコストが売上を上回ったのではないかと考えられます。
他のSNSやブログサービスについては、他サイトへのリンク・データの埋め込みで「引用」している箇所には、明確な囲みレイアウトで分かりやすくするという措置で対応しています。
何をすれば捕まってしまうのか?
ここまで一般的なネットユーザーに過度な心配は必要なしという説明をしてきましたが、5ch民の中には心配した方がいい・今のやり方から撤退した方がいい層も居ます。
ここからは著作権法改正により、何をすれば捕まってしまうのかについて触れていきます。
インターネットの海賊版が厳罰化・明文化
今回の改正著作権法がメインターゲットにしているものは、インターネット上の違法アップロード「海賊版」と呼ばれる存在です。
- 違法アップロードをしている者
- 違法アップロードされたコンテンツを視聴・ダウンロードする者 ←New!
旧来の著作権法では、主に違法アップロードを行っている側への取り締まりが行われていました。
改正著作権法では、違法アップロードされていると「知りながら」コンテンツを視聴・ダウンロードをする行為も違法となっています。
「悪気がなければいい」「軽微であれば問題ない」という但し書きはあるものの、基準が明確ではありません。
悪気がなくても(悪気がないと言い訳しても)視聴・ダウンロードの数が多いと「悪質性が高い」と判断される可能性が高いです。
違法アップロードを利用した漫画やテレビ番組のタダ見は、今後は控えた方が良いでしょう。
また、違法アップロードが行われているサイトをまとめる、紹介するといった行為も悪質とみなされると考えられます。
5chではついついやりがちな書き込みですが、今後は慎重になった方が良いです。
ゲーム実況動画の隆盛に対応するゲーム業界の反応
ゲームの映像出力をパソコンに繋ぎ、キャプチャーした動画をネットにアップするという行為は、ここまでの事例を考えると一発アウトに感じられます。
しかし、ゲーム実況動画の隆盛により、eスポーツ産業やゲームソフトそのものの売上が伸び、ゲーム業界全体が盛り上がっている現状においては、ゲーム関連企業は別のアプローチをとっています。
- 任天堂
- ソニー・インタラクティブエンタテインメント
- スクウェア・エニックス
- セガゲームス
といった主要なゲームメーカーは、今回の著作権法改正に合わせて自社の利用規約を改定しており「ゲームの動画配信をどんどんやってください!」というメッセージを明文化する緩和措置に舵を切っています。
プレイステーション5に至っては、ゲーム動画の録画・ネット配信機能を標準搭載しています。
ゲームは元々がデジタルデータであることと、通しで遊ぼうとすると何十時間も要することから、数十分で収まる動画で切り取る事についてはコンテンツの価値を損ねず、かえって宣伝になってくれるというWin-Winの関係を作り出していることが要因です。
一方で、コンテンツの単価や分量が少なく、全文を公開されてしまうことが死活問題となっている出版業界(漫画など)や、テレビ番組(アニメなど)については、依然としてネットへの引用・アップロードには厳しい姿勢を取っています。
ネットの海賊版への対策とは?
著作権者側はネットの海賊版に対して、どのような対策を行っているのでしょうか。
正規版のサブスクや電子版の隆盛が海賊版への牽制に
近年、テレビ番組の見逃し配信や、漫画本の電子版・サブスクなどのネットサービスが整備されてきました。
違法アップロードの需要には、タダ見したいという悪質な考えとは別に「見たいものが手に入らない」という流通や地方格差の問題がありました。
関東圏でしか見られないドラマ・アニメがある、読みたい雑誌や本が手に入らないからネットの違法アップロードを頼っている、という事情の者も居ました。
公式にコンテンツを発表・販売する場がネット上で整備されれば、そういった格差を是正しつつ著作権者に利益を還元することができるようになります。
ヨーロッパでは海賊版が減少傾向
ヨーロッパの調査で、海賊版が減少傾向になっているという統計が出ています。
しかし、その要因となっているものはいまいち不明であること、調査方法に恣意的な調整が加わっているのではないかという批判もあり、鵜呑みにはできない情報です。
重要なのはこの統計の原因を突き止めることと、それを日本の海賊版対応に生かす事でしょう。
当該の統計についても、
著作権で守られているコンテンツに安価で便利な合法的アクセスを提供する方法を模索するのが道理にかなっているかもしれない
という調査チームの見解が添えられています。
まとめ
著作権法改正による5chへの影響とは?についてまとめてみました。
法改正があったとはいえ、悪質な利用をしていない限りは、一般的な5ch民が怯える必要はありません。
今回の件を、やっていい事・悪い事を改めて確認する機会と捉えてみてはいかがでしょうか。