どうもこんにちは、管理人のけいすけです。
当ブログでは様々なサイトの削除依頼や訴訟の手順を解説してきましたが、5chの書き込みで名誉毀損になるケースを今回初めて取り上げます。
5chは運営が日本から離れているなど難しい事情も抱えています。そういった点も含めて調べてみましょう。
5chの書き込みで名誉毀損になるケースを知っておくと、矛としても盾としても使えるようになるでしょう。
5chを使っていくなら絶対に知っておきたいテーマです。ぜひお読みください。
5chの書き込みでタイーホされるケースとは?
5chの書き込みで名誉毀損になるケースのテーマに絞る前に、5chで行う書き込みで逮捕に至るいくつかの原因を見てみましょう。
犯罪予告(脅迫罪・偽計業務妨害罪)
5chの書き込みが事件化するケースで多いものに、有名人の殺害・施設の爆破などをほのめかす犯罪予告があります。
名指しで犯罪予告をされた相手は、警備を強化したり予定をキャンセルするなどの対応を余儀なくされるという、明確な実害が発生します。
また、被害を防止するために警察が動くことになり、実際の捜査も動き出すことになります。
過去には5chの犯罪予告から実際に犯行に至った犯罪者も存在している為、警察や世間は5chの犯罪予告に対して非常に強い警戒心を持っています。
こういった事情から、刑事事件・民事事件の両方に抵触する犯罪の一つであり、5chの内輪のお遊びでは済まないことになります。
誹謗中傷(名誉毀損罪・侮辱罪)
特定の個人・団体を名指しで侮辱する行為には名誉毀損罪・侮辱罪が成立します。
身近な例では、嫌われ者の芸能人の悪口を書く、気に入らない店の批判を書く、といった行為です。
ネットの書き込みで難しいのは、
- 批判
- 誹謗中傷
この境界が非常に曖昧であることです。
5chの書き込みで名誉毀損になり、逮捕や訴訟の被告になった人が高確率で供述する内容が「自分は間違っていない」というもので、書いた本人は自分が正義だと思ってます。
これは、逮捕や訴訟を起こされる犯罪者に限らず、全ての5ch民、ひいては全てのネットユーザーに起こりえるネットの罠です。
周囲に不快感を与えるような言動を繰り返す有名人や、態度や対応が悪い店やサービスを批判したいというのは誰しもが持つ感情で、ネットはその欲求を簡単にかなえてくれます。
批判もある一定の段階までは正当な主張ですが、度を過ぎると名誉毀損罪・侮辱罪になるという程度問題の犯罪である為、その見極めは非常に難しいものとなります。
判断が難しいところではありますが、特定の相手への批判について、
- 数十件にも及ぶ大量の投稿
- 数週間~数ヶ月~数年などの長期間
に及ぶ場合は「さすがにしつこい」となり、発信者情報を特定されて逮捕・訴訟に発展するという点は気を付けておきたいところです。
なりすまし(肖像権の侵害)
有名人や、有名でなくても実在する人物になりすましてネット上で活動する行為は、肖像権の侵害のほか、名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪などが成立する可能性があります。
また、有名人や権力者になりすまして利益を得た場合は詐欺罪にも相当します。
なりすまされた本人は気持ち悪さや恐怖などの精神的苦痛も感じますし、仕事に影響があるなど経済的な実害が発生する場合もあります。
なりすましも5chやその他のネット上で逮捕・訴訟の事例が多い犯罪です。
個人情報の晒しは実はグレーゾーン
ネットの書き込みでしばしば問題になる個人情報の晒しですが、実はこれだけでは犯罪とは呼べない状態になっています。
いわゆる個人情報保護法というものは、企業などの組織・団体が営業目的で収集した個人情報を悪用しないように規定した法律で、個人である5ch民が他人の個人情報を晒すだけの行為を罰する法律はないからです。
ただ、ネットで個人情報を晒すことで相手に様々なダメージを与えることは明白なので、上で述べたような様々な罪状を組み合わせ、刑事事件・民事事件の両方に該当していくようになります。
個人情報の晒しはグレーゾーンですが、被害者の意思次第で「黒」になるものですので、やはり面白半分で投稿するものではないでしょう。
5chの書き込みで名誉毀損になるケースとは?
5chの書き込みで名誉毀損になるケースについて考えてみましょう。
5chに入り浸っているとついつい書いてしまうという内容も多々ありますので、これを機会に気を付けるようにしたいですね。
ただの口げんかは心配なし
5ch民同士の口げんかや言い争いが名誉毀損になることはほとんどないでしょう。
上で述べたような逮捕・訴訟に繋がるトラブルに共通するものとして「個人を特定」というキーワードが付きまといます。
リアルでの身元が判明している人(もしくは個人情報の晒しで強制的に身元を明らかにされた人)に対する攻撃、というものが全てのトラブルの元凶です。
5ch民同士の口論では「匿名vs匿名」という構図になりますので、そこそこ口汚い言葉の罵り合いがあったとて、お互いにリアルでの実害はないことになります。
5ch民同士の口論でも、あまりに心が弱い人は心身に異常をきたすということがあり、その場合は傷害罪が適用される可能性もありますが、そんな豆腐メンタルが自ら訴訟を起こすまで行動することは考えづらいです。
また、そんな豆腐メンタルには、パソコンをそっ閉じしてゆっくり寝ることをおすすめします。
有名人・団体・商品への嫌がらせに対する反撃は増加傾向に
ネットの宣伝効果が絶大になっている現在においては、有名人・団体・商品へのネット上での嫌がらせ投稿は非常に警戒されています。
口頭でのクレームや、それに対する企業側の間違った態度・対応については、それが真実である(動画や録音で証拠として残されるなどの)場合は、企業にとって致命的なダメージになります。
逆に、5chなどのネットの投稿は、それ自体が文章として証拠が残るものです。
批判の範疇を超えた誹謗中傷については、本人が正しいと考えて投稿したものでも、周囲から見れば間違っているケースも多々あります。
訴えを起こす側としては、文章という証拠が残っているのですから、
- 法的な手続き
- 世論の同情
の双方から周囲を味方につけて投稿者に反撃することが可能です。
ネットの投稿は便利で楽しい反面、使い方を間違えるとそういうリスクも伴うということです。
また、金銭面の損害の他に、被害者側の「気が済まない」という感情面から訴訟が長期化するケースも増えています。
強気な性格の有名人や社長などは、5chの書き込みで名誉毀損をしてきた相手に対して「君がッ泣くまで殴るのをやめないッ!」と言わんばかりの執拗な反撃攻勢に打って出てくるケースも増えています。
生意気な印象の有名人や企業はついつい叩きたくなりますが、やつらをのぞく時やつらもまたこちらをのぞいているのだ、ということは頭の片隅に置いておきましょう。
逮捕・訴訟は他の罪状の合わせ技が多い
名誉毀損の被害者は、単純に名誉毀損だけで訴えてくることは少ないです。
実害を受けた場合は業務妨害、気持ちや健康をやられた場合は傷害罪など、他の罪状との合わせ技で訴えてきます。
そういった理論武装を警察や弁護士の協力を受けながら固め、その上で逮捕や訴訟に打って出てきます。
義憤で思考が固まって過ちを犯してしまうならまだしも、面白半分で書き込んだ投稿でそんな反撃を受けては割に合いません。
一時期、ネットは安全圏から狙撃できるものと考えられていましたが、ネットの書き込みの発信者情報の特定は手続きがどんどん簡単になっており、相手に反撃されるリスクはネットとリアルでほぼ変わらないものとなりつつあります。
元々、他人への攻撃というのは、そういった反撃のリスクが伴うものなのです。
5chの書き込みで名誉毀損への対処方法
5chの書き込みで名誉毀損が発生した場合、どのように対処すべきでしょうか。
- 名誉毀損を受けた被害者となった場合
- 意図せず加害者になってしまった場合
双方の立場から考えてみましょう。
被害者側の対処方法
5chの書き込みで名誉毀損を受けた被害者が起こす行動は、主に以下の通りです。
- 5ch運営にメールで削除を依頼(同時に印刷・スクショなどの証拠保全)
※刑事告訴の場合は以下の手順は警察が行います - 5ch運営にIPアドレスの開示を求める
- IPアドレスを基にプロバイダーに発信者情報開示を請求する
- 発信者情報を元に犯人へ訴訟を起こす
これらの流れは以前にも当ブログで取り上げましたが、簡単に解説します。
問題の投稿はすでに被害者の個人が特定されているものと考えられるため、ネット上に晒され続けることで実害が広がっていきます。
まずは5chの運営にコンタクトを取って削除を依頼します。
それと同時に問題の投稿を印刷やスクリーンショットなどの方法で手元に残します。
これは削除依頼が通ってしまうとその後の刑事告訴・民事訴訟で使う証拠も消滅してしまう為です。
5chの運営は紆余曲折あり、日本人のひろゆきからフィリピン在住アメリカ人のジム・ワトキンスへと変わり、彼が経営するペーパーカンパニー「Loki Technology, Inc」が行っています。
一応は日本語のメール対応が行われているようですが、一般的な日本企業の対応は期待できないかもしれません。
その後は警察に被害届を出して対応してもらう(刑事告訴)か、自分で弁護士などに依頼して訴える(民事訴訟)などします。
刑事告訴と民事訴訟は同時進行でも行えます。
名誉毀損の案件では、刑事・民事の裁判が同時進行することも多いです。
刑事告訴の捜査は警察に任せるしかありませんが、民事訴訟では更に自分(か弁護士に代行してもらう)で相手の情報を集めます。
再度5chの運営に連絡を取り、問題の投稿のIPアドレスの開示を求めます。
IPアドレスが判明すると犯人が利用しているプロバイダが分かりますので、プロバイダに発信者情報(氏名・住所などの個人情報)の開示を求めます。
(書き込みがネットカフェなどで行われた場合でも、ネットカフェは投稿日時・使用パソコン・利用客の個人情報を把握していますので、開示を求めることが可能です)
判明した相手の個人情報を元に民事訴訟を起こします。
加害者側の対処方法
軽い気持ちで書き込んでしまって後悔している場合、訴えを起こされたものの自分の正義を信じて疑わない場合、どちらにも共通して言えることは、まずは弁護士などの専門家に相談することです。
お金を払って信用の置ける弁護士を雇うのが一番ですが、お金がない場合は法テラスなどの無料相談所や、弁護士ドットコムなどのネットの無料相談サービスを利用すると良いでしょう。
大仰な裁判になる前に、お互いの弁護士が仲介して穏便に事を済ませる「示談」が示されることが多いので、戦う気がないなら早々に謝ってしまう方が早いです。
どうしても自分が悪者になることが耐えられない場合は、裁判に臨むようになります。
裁判に入ると、やはり弁護士の協力は欠かせないものになるでしょう。
まとめ
5chの書き込みで名誉毀損になるケースや、その前後の対応についてまとめました。
5chに書き込んだ二言三言の投稿で名誉毀損になることはまずありません。
しかし、5chの特定のスレの住人になり、特定の個人や団体の批判を大量・長期に書き込んでしまうということは、5ch民の中には身に覚えのある人も居るのではないでしょうか。
同じ内容でもあまりにしつこかったり、脅しの犯罪予告や個人情報の晒しなど犯罪に繋がる決定的な投稿をしてしまうと、被害者や警察に誹謗中傷の主犯と目を付けられてしまいます。
ネットの発信者情報は今や警察や弁護士には筒抜けになっていますので、匿名の安心感から遊びで誹謗中傷する行為は避けた方が良いでしょう。
また、正義感や怒りからネットで他人を攻撃しがちですが、こちらも度を過ぎると犯罪者となってしまいます。
5chの書き込みで名誉毀損になるケースは程度で変わってしまう判断の難しい問題ですが、何事もほどほどにということでしょうか。