どうもこんにちは、管理人のけいすけです。
5chの有名人だった「ぼっさん」という人物をご存じでしょうか？
匿名掲示板である5chにあって、本人写真が流出しフリー素材化したという数奇な人生を辿った人物です。
ぼっさんの活動時期はSNSが一般に普及するよりも前なので、より異様さが際立ちます。
ぼっさんのコラ画像はあまりに膨大で、現在でも検索をおこなうと大量の画像がヒットします。
今回はコラ画像のフリー素材になった「ぼっさん」とはどんな人なのか？解説していきます。
ぼっさんが5chを去った後もしばらくコラは作られ続けておった
ぼっさん自身の優しさが起こした奇跡じゃな
現代の感覚ではいち個人の写真が素材化するような事態は信じがたく、何らかのトラブルが起きてもおかしくはありません。
しかし、ぼっさんは自身の素材化を快諾し、コラ職人もぼっさんへのリスペクトを忘れなかったという、当時の5ch住民が持つ不思議な倫理観と空気感が生んだ奇跡のキャラクターといえます。
インターネット黎明期にぼっさんという人物に何が起こったのか？非常に興味深い歴史がそこにあります。ぜひお読みいただきたい記事になっています。
「ぼっさん」とはどんな人？
ぼっさんはもともと5chのいち住人に過ぎませんでしたが、コテハン（固定ハンドル）の利用と写真の投稿をきっかけに有名人になっていきました。
URL：http://info.5ch.net/index.php/%E3%81%BC%E3%81%A3%E3%81%95%E3%82%93
名前の由来
ぼっさんはもともとニュース速報板の住人で「りぼんちゃん◆BIJOU400pc」を名乗るコテハンのひとりに過ぎませんでした。
そもそもりぼんちゃんとは誰なのでしょうか？
これは2000～2006年に放送されていたテレビアニメ「とっとこハム太郎」の登場人物（登場ハムスター）のりぼんちゃんが由来となっています。
りぼんちゃんは語尾に「でちゅ」「でちゅわ」をつけ、自分を「わたし」「わたくし」と呼ぶお嬢様系のキャラクターで、ぼっさんはこの口調を真似て投稿を繰り返していました。
結果的に「りぼんちゃん」の口調を真似する「おっさん」から、略して「ぼっさん」と呼ばれるようになったわけです。
現在の5chでは個人のキャラクターを強く主張するような投稿者は敬遠される傾向にあります。
当時のニュー速の雰囲気や、当時は陰キャの趣味と考えられていたアニメ文化を優しく受け入れていた5ch民の傾向など、時代が生み出したヒーローといえるのがぼっさんでしょう。
いくつかの呼び名
ぼっさんには、本人が名乗っていた正式なコテハンのほかに、いくつもの呼び名が存在します。
- りぼんちゃん◆BIJOU400pc
- りぼんのおっさん
- ぼっさん
- ビルメン
「ビルメン」は、ぼっさん本人がビルメンテナンスを生業としていたことから名付けられました。
現在はぼっさんで固定されているものの、当時の生身の人間関係の中では複数のニックネームが混在して使われていたようです。
ちなみにぼっさんとは別に「ぼるおっさん」という別人も存在していたものの、ぼっさんが有名になるにしたがって、名前を乗っ取られるような形になってしまいました。
ぼるおっさんはぼっさんが人気者になるのと同時期に5chからフェードアウトしたため、大きなトラブルにはなりませんでしたが、ちょっと可哀想な気もしますね。
ぼっさんのプロフィール
不確定情報ながら、活動当時のプロフィールとして伝えられている情報がいくつかあります。
- 1972年生まれ
- 身長170.5cm
- 体重59.6kg
- 熊本県荒尾市在住
本人画像を見る限りは細身の中年男性といった印象で、年齢・身長・体重の数値には信憑性があります。
住所についてもニュー速の県名表示で明らかになっていたことから、そのものずばり荒尾市か、そこまで離れていない熊本県内に住んでいたものと考えられます。
ただし、上記の詳細なプロフィールは、ジョークサイトである「アンサイクロペディア」に掲載されている情報でもあります。
アンサイクロペディアは5ch関連に限ればガチのデータを載せていることが多いものの、ぼっさんの該当記事も嘘や冗談が入り混じっているので、読んでいると煙に巻かれてしまいます。
ネットの情報がどこまで本当なのか、常に怪しいと疑ってかかるのは正しい5ch民の姿勢でしょう。
ぼっさんがフリー素材になった経緯
ぼっさんがフリー素材となった経緯を解説していきます。
URL：https://dic.pixiv.net/a/%E3%81%BC%E3%81%A3%E3%81%95%E3%82%93
自画像を5chに投稿
ぼっさんの自画像写真が流出したきっかけは、本人が酔った勢いでネットにアップロードしたというのが真相のようです。
スマホやSNSが本格的に世の中に登場するより前の時代の話ですので、そんなことでもない限りは個人の写真がネットに流出するようなことはなかったのです。
子供と同じで、何が気に入るかが分からないのが5ch民です。
ただのおっさんの自撮り写真であったにもかかわらず、直立不動・正面からの撮影などコラ素材として使いやすかったという事情もあり、5ch内でコラ素材としてまたたく間に流行しました。
しらふに戻ったぼっさん自身もそれを承諾したことで、名実ともにフリー素材となったわけです。
5ch民が次々にコラ画像を作成
ニュー速という板の特徴もあり、ぼっさんの素材は日々の時事ニュースの画像に次々にコラージュされていきました。
- FF13やマトリックスなど商業作品のキービジュアルへのコラ
- 「けいおん」や昔の不良などアニメ・実写問わず学生の集合写真にコラ
- 美女に囲まれた男・戦地の兵士など海外の写真にコラ
- 名画にコラ
- 増殖するぼっさん
最終的にはニュー速に何らかの画像がはられると、機械的にぼっさんコラが作成されるBOTのような住人が発生する事態に発展。
こうしてぼっさんコラは5chを代表する文化となっていきました。
ぼっさんがフリー素材になることを許可
ぼっさんコラが流行した要因の一つには、ぼっさん本人がフリー素材としての使用を快諾したことが大きいでしょう。
ぼっさんは一時期、ホームページやSNSアカウントを保有するなど、ネット生活を満喫するちょっとした有名人となっていました。
いくつかのネットメディアで取り上げられたことでアンチも現れましたが、ぼっさんはアンチに叩かれることすら楽しんでいたという証言もあります。
自画像の公開や炎上などは、現代の感覚では深刻なネットトラブルに発展する恐れのあるマイナス要素です。
往々にして時代が味方した部分があったものの、ぼっさんの生き様・ネットの処世術といった部分には、現代人が学べるところが多いのではないでしょうか。
ぼっさんのその後
5chやネット上で一時代を築いたぼっさんでしたが、現在は表立った活動はしていません。
近年でもぼっさんだといわれるSNSアカウントや目撃証言などの噂はありますし、本人と思われる5chの書き込みも毎年のように発見されています。
しかし、現在ではただの「名無しさん」に戻られているようです。
URL：http://blog.livedoor.jp/ribonchan_fanclub/
2008年9月18日を境に消息不明に
ぼっさんがネット上から姿を消したターニングポイントは2008年9月18日といわれています。
- 5chの書き込み
- ホームページ
- pixiv
- mixi
このようなネットの繋がりとなる活動の休止や、SNSアカウントの削除が一気におこなわれました。
本人のコメントがないため詳細は不明ですが、個人情報の流出や炎上で実害が出た、周囲の人に身バレしたなどの説がささやかれています。
しかし、ぼっさんのコラ画像については各所に削除申請がおこなわれた形跡がなく、後年に新しく作られたコラが訴えられたりするようなことも起こっていません。
別の見方では、以前から療養中であることをほのめかしていた脳腫瘍摘出手術に関連し、人生の整理として各アカウントの削除をしたのではないかとも考えられています。
ぼっさんが消息不明になってから現在に至るまでぼっさんコラに関わる紛争は確認されておらず、未だネットのアーカイブ上でぼっさんコラを楽しむことができます。
活動時期に感じられたぼっさんの人柄からも、トラブルで姿を消したというよりは、個人的な心境の変化で活動を休止したと考えるのが自然でしょう。
2010年に5chに降臨か？
2010年に5chに投稿された名無しの投稿がぼっさんの文面に酷似しており、本人なのではないかという噂が流れました。
投稿者はぼっさん本人を自称しており「現在は名無しで投稿している」などの証言をおこないましたが、本人であることを確認する術はなく、なりすましを疑う声も多いです。
証明が難しいことは投稿者本人も自覚していたのか、それ以上の主張は見られませんでした。
- なりすましが諦めた可能性
- 本当にぼっさん本人だったが、それ以上に目立とうとは考えなかった可能性
どちらも考えられますね。
ツイッターで活動の噂
あるツイッターアカウントがぼっさん本人なのではないかという噂が流れました。
そのアカウントは現在では鍵アカウント（本人の承認がないとツイートをの閲覧権限が得られない）状態となっており、フォロー・フォロワーも少ないため、ごく個人的な連絡や情報収集にしか使われていないようです。
わざわざ突撃せず、そっとしてあげるのが良さそうです。
大牟田市で生活しているという噂
福岡県大牟田市で仕事をしていた、買い物をしていたなどの目撃情報があります。
活動時期には熊本在住であったため、九州地方の中核都市である福岡に移住しているというのはなくはない話です。
しかし、リアルにまで踏み込むのは本格的なネットストーカー行為ですし、静かに暮らすおっさんに突撃したところでお互いに気まずくなるのは目に見えています。
こちらについても、そっとしてあげて、仮に見つけても生暖かく見守るに留めるべきでしょう。
2012年に本人動画が公開される
2012年1月11日に、ぼっさん本人と思われる動画がYouTubeで公開されました。
5chの有名人ではあるものの、世の中全体としては知られていないからなのか、再生数はYouTube動画としては控えめの数字となっています。
また、それ以降から当記事の作成時期に至るまで、ぼっさんからの新たな動画投稿はありません。
URL：https://www.youtube.com/watch?v=JHF8Ouf08xE
2013年にコラ動画がニュース番組で放送される
ぼっさんが消息不明になった5年後、再びぼっさんコラが注目される出来事がありました。
日本テレビのニュース番組が、こともあろうかぼっさんのコラ画像を放送してしまうという珍事が発生したのです。
問題のシーンは、ピザ店のアルバイトが閉店後の店内で（衛生上問題のある）悪ふざけをしている様子を動画で撮影し、SNSで公開したというものです。
2013年当時はSNSの登場と若者の承認欲求から、今まで表に出なかったアルバイトの悪ふざけがネットに公開され、企業に苦情が寄せられる「バイトテロ」が社会問題になっていました。
今回もその報道の一環だったのですが、ピザ生地を顔に貼り付けてふざけるアルバイトの背景に、ぼっさんの人影が心霊写真のようにコラージュされているという写真が使われました。
目ざとく発見した5ch由来の視聴者に盛大に突っ込まれることになり、同時にみんながぼっさんを思い出して明るい気持ちになりました。
テレビ局スタッフがオリジナルの画像を探す手間を惜しみ、5chにあった画像を拾ってきた結果、ぼっさんコラを放送に乗せてしまったものと考えられます。
これによって日本テレビはバイトテロと同レベルじゃないかというツッコミを受けることとなり、この珍事はネット記事としてデジタルタトゥーと化してしまっています。
URL：http://gaisyokuch.blog.fc2.com/blog-entry-1786.html
ぼっさんの画像が見られるサイト
ぼっさんコラはぼっさんの活動時期であった2008年以降もわずかながら作られ続けたほか、ファンによる画像のまとめ記事などが多く作られています。
ネット検索をするだけで、かんたんにぼっさんコラをみつけることができるでしょう。
画像専門SNSである「ピンタレスト」やYouTubeにも、ぼっさんコラを専門に収集しているアカウントがいくつもあります。
ただ、やはりぼっさんが過去の人物であることは変えようのない事実で、彼を扱ったサイトにはアクセス不能になっているものも数多くあります。
「一度ネットで公開されたものは消せない」と言われる反面、特定のネット企業が特定のサービスを終了させると、多くのアーカイブ情報や文化・流行が失われるとも言われます。
消えて欲しいどうでもいい情報は残るのに、欲しい情報や惜しまれる文化ほどかんたんに消えてしまうというのは、インターネットの因果ですね。
ぼっさんも時の流れとともに、少しずつ人々から忘れ去られてしまう運命にあるのかもしれません。
まとめ
コラ画像のフリー素材になった「ぼっさん」という人物について特集しました。
かつての5chの雰囲気、ぼっさん本人の人柄など、さまざまな偶然が重なって盛り上がった文化がぼっさんコラでした。
インターネットがどこかギスギスしたコミュニティになってしまった現代では、このような人気者はもう現れないかもしれません。
5ch史・インターネット史としても、忘れてはいけない人物であり現象といえるでしょう。
