どうもこんにちは、管理人のけいすけです。
みなさんは「きさらぎ駅」という伝説をご存じでしょうか?
電車に乗っていたら見知らぬ駅で降ろされた…という5ch上の実況からはじまった怪談です。
今でもたびたび語られ、テレビで取り上げられたり映画化もされている有名な話で、当ブログでも少しだけ触れたことがあります。
今回はきさらぎ駅の顛末、その後、なぜ人々の心を掴むのかなど、きさらぎ駅について深掘りしてみます。
知らない人間が現れても不思議ではないの
5chの投稿だからという部分も大きいのじゃよ
きさらぎ駅の伝説は5chに投稿された実況という部分が今までにないところでした。
奇しくも5ch、インターネットという新しいメディアだからこその恐怖があり、人々の心を掴んだともいえます。
恐ろしくも怪しい魅力を持つきさらぎ駅に迫ってみましょう!ぜひ最後までお読みください。
最初のきさらぎ駅の投稿のあらすじ
5ch上にきさらぎ駅についての投稿がおこなわれた最初は2004年1月8日、オカルト超常現象板の「身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ26」の98レス目からの一連のやり取りです。
該当のスレは現在でも5chの過去ログとして全文を読むことができますので、オリジナルのふいんき(←なぜか変換できない)を楽しみたい方はそちらを御覧になることをおすすめします。
当記事では顛末をあらすじとしてかんたんにまとめていきます。
URL:https://hobby4.5ch.net/test/read.cgi/occult/1073411138/
静岡の私鉄に乗っていた投稿者
気のせいかも知れませんがよろしいですか?
という投稿とともに一連のやりとりが開始されました。
普段から通勤に利用している静岡の私鉄に乗っていた投稿者は、駅間が長くても8分程度の路線で20分以上も停車することなく走り続けていることに違和感を覚えました。
周囲に5人ほどいる乗客は全員居眠りをしており、運転席・車掌室ともにブラインドが下りていて乗務員の様子も確認できない。
特急や快速に乗り間違えてしまったかもしれないとしばらく様子を見ることにしたものの、不安げに5ch上で実況を続けました。
携帯電話(当時のガラケー)からの投稿であった絡みでsageがうまく適用されないことを住人に注意されつつ、話が長引きそうなことから、投稿者は「はすみ◆KkRQjKFCDs」のコテハンを名乗ることになりました。
きさらぎ駅に下車
(その路線にないはずの)トンネルを通過したところで速度が落ち、きさらぎ駅に停車したところではすみは下車、きさらぎ駅は無人駅でした。
駅を出てタクシーを呼ぶという、深夜に乗り過ごした際の普通の対処法を考えていたはすみでしたが、そもそもきさらぎ駅という場所は地図上に存在せず、説明のしようがありません。
実家の両親に連絡して迎えに来てもらう手筈も整えましたが、両親もきさらぎ駅が見つからずに困惑します。
iモード(当時の携帯電話情報サービス)のタウン検索を試みるも「ポイントなんとかエラー」で使用できませんでした。
はすみは両親の迎えを待ちつつも、徒歩で線路に沿って戻る選択をします。
110番と太鼓の音
両親からのすすめで110番に連絡したものの、存在しないはずのきさらぎ駅を訴えたことでいたずらと判断され、怒られて通話を切られてしまいます。
住人の助言で両親から110番してもらう流れになりましたが、こちらの対応も最後まで効果がないまま終わります。
遠くの方から太鼓と鈴の音が聞こえるようになり、それが徐々に大きくなって近づいてくる感覚が。
はすみの恐怖は増していき、スレにも泣き言が増えていきます。
途中で「おーい線路の上歩いちゃ駄目だよ」と声を掛けられますが、振り返ると片足のお爺さんと思われる人影がすぐに消えてしまったと言います。
「伊佐貫トンネル」を抜け車に乗せてもらう
はすみは足をケガしながらもなんとか先述のトンネルに到着、住人から地名を教えろというレスが多数あったこともあり、入口に書かれた「伊佐貫」というトンネル名を実況します。
トンネルを抜けると出口付近に人がおり、現在地を聞くと比奈と答えられました。
(比奈は実在する静岡県富士市の地名だが、はすみが乗車した浜松とは距離も路線も離れている)
そして投稿は途切れた…
トンネル出口付近にいた人物の車で、近くのビジネスホテルに送ってもらうことになったという事後報告。
しかし、深夜2時のトンネル出口付近にいる人物など怪しさしかなく、住人たちは「車に乗るな」「逃げて」と大慌て。
車はどんどん山の方へ向かっていき、はすみが話しかけても無視され、何かぶつぶつ独り言をはじめるという、きさらぎ駅周辺とは別種の恐怖に晒されることに。
はすみは「隙を見て逃げ出すつもりだが、いざという時のために実況は終わりにする」と宣言。
しかし、それを境にはすみからの投稿は途切れたのでした。
きさらぎ駅のその後
はすみによるきさらぎ駅に関する実況は5ch上で話題になりましたが、Twitter全盛の時代になった2011年以降に、きさらぎ駅に迷い込んだというツイートが相次ぎました。
2011年 千葉からきさらぎ駅へ
電車を乗り過ごし千葉駅付近にいると思われた投稿者は、ようやく停車したきさらぎ駅で下車。
しかし、すでに有名になっていたきさらぎ駅についての顛末をフォロワーから聞いた投稿者は「w」付きの投稿でおちゃらけながらも恐怖に陥ります。
スマホとTwitterというはすみ時代よりも進んだツールを利用していたことで、きさらぎ駅周辺の写真を添えながらツイートが続きます。
(きさらぎ駅周辺とされる写真には歩道橋・街灯・自販機などが写り込んでおり文明的な印象がある)
歩道橋の看板には「きさらぎ駅交差点」との表記があり、停車していた無人の車は浜松ナンバーなどの実況が。
フォロワーから煙を出すと良いとアドバイスを受け、煙草を持っていなかった投稿者は手持ちのノートを燃やします。
すると人通りが出始め、スマホのGPSが復活、現在地が八千代緑が丘(千葉県)周辺と判明。
少し歩くと営業中のコンビニに辿り着くも、通ってきたはずのきさらぎ駅に続く道は消滅していました。
当時は「きさらぎ駅再び!」とTwitterで話題になったものの、後に投稿者の釣り・創作であることが判明しました。
2012年 Twitterで実況しその後…
Twitterで「@__Byakuran_」というアカウントを使用する人物がきさらぎ駅に辿り着いたという実況を開始。
フォロワーから今までのきさらぎ駅に関するアドバイスが寄せられ、投稿者もかすみの投稿を把握しました。
スマホの通知が止まらないことでバッテリーが消耗されてイラついたり、近しい人々に電話を掛けるも通話中・繋がっても無言で会話できないという状況が相次ぎます。
次第に記憶があやふやになる(自分の名前が思い出せない)など投稿者に異変が起こります。
「寝る」と宣言して寝てしまう投稿者ですが、友人の電話で目覚めると小田原駅に居たといいます。
実況中の自分のツイートにも身に覚えがなく、一種のトランス状態にあったと考えられます。
この話には続きがあり、2012年の投稿からしばらく投稿者の日常が綴られていたアカウントに異変が起こります。
2015年に突然、投稿者の知人を名乗る人物からの代筆として、
今年の3月上旬(特定のために具体的な日付は避けさせていただきます)、彼女は「神様のお嫁さんになる」と言い出し、此処にはもう来れないので、居なくなったらそれを此処で伝えて欲しいと伝言を預かっていました。次の日の早朝、彼女は神様に嫁いでいきました。
という怪文書を残してアカウントの投稿が止まりました。
その後、2018年に「ひな」、2019年に「山陽小野田市」というツイートが一つずつあったきり、当該アカウントは放置されています。
URL:https://twitter.com/__byakuran__
2014年 阪急や川崎からきさらぎ駅へ
阪急に乗っていたらきさらぎ駅に着いた、川崎のはずなのにきさらぎ駅というところで止まったなどの投稿が相次ぎました。
錆びたきさらぎ駅の看板などの具体的な写真が添えられていましたが、いずれもオカルト系まとめサイトの写真を転載したもので、投稿者の創作であることが明言されています。
2015年 きさらぎ駅の帰宅ラッシュ
同じくきさらぎ駅に迷い込んだというツイートが投稿されましたが、同日に何人ものアカウントが同時多発的に似通ったツイートを投稿。
「きさらぎ駅の帰宅ラッシュw」と笑いのネタになりました。
何人もの人間が迷い込んでいるはずなのに、それぞれが駅に一人だけと報告する奇妙な現象が見られました。
それもそのはず、いずれも投稿者の創作だったことが明言されています。
2018年 異世界を旅した中1女子
再びオカルト超常現象板に「電車に乗ってたら急に人いなくなった」というスレが立てられ、中1女子を名乗る「1」(みずは)が自らの状況を実況しました。
池袋から十条へ移動していたみずはは、車掌やその息子という小学生くらいの男の子と複数の駅を巡り、夕暮れの海や星空などこの世のものとは思えない美しい景色を目にします。
5ch住人から聞いたきさらぎ駅の話を車掌にすると、連れて行ってくれると話します。
きさらぎ駅は夜間にも関わらず大量のちょうちんで明るく、太鼓や笛を鳴らす人々でお祭り騒ぎ、優しい態度で接してもらえたということです。
その後みずはは21時台に十条駅に戻りましたが、到着直前に今までいなかった周囲の乗客が急に現れたといいます。
2020年 めちゃくちゃ栄えてるきさらぎ駅
「@mirumenasi」という人物が、そんなに迷い込んでる人が多いならそこそこ人口が増えてるんじゃね?という想像のもと「めちゃくちゃ栄えてるきさらぎ駅」のイラストを投稿して話題になりました。
ルミネが入った駅ビルやそれに隣接するコンコース・広々としたバスターミナルなど、北千住・大宮・岐阜・藤沢などの地方都市を思わせる発展を遂げています。
URL:https://twitter.com/mirumenasi/status/1321779973431046149
後発はネタが多数だが一部ガチっぽい話も
Twitter時代以降はきさらぎ駅の伝説も有名になっており、釣り・創作であっても知らない体で話を進めるのは無理が出ています。
迷い込んでいる投稿者にフォロワーがオリジナルの伝説を教えるという形で、早めにはすみの体験談が当事者に共有されるという傾向が見られます。
かつて日本中を恐怖に陥れた「貞子」が数十年の時を経てコミカルな怪物として描かれている例にもある通り、ホラー・オカルト作品は時を重ねるとネタ化される傾向にあります。
2004年に登場したきさらぎ駅の逸話も、そろそろそのようなフェーズに突入しているのかもしれません。
しかし、一部の体験談には妙に信憑性があります。信じるか否かは読み手に委ねられているわけですが…。
きさらぎ駅の魅力
きさらぎ駅の伝説はなぜ人々を惹きつけるのでしょうか?
神隠しという定番と5chの実況という新しいメディア
きさらぎ駅の伝説は神隠しという怪談の定番に、5chの実況という新しいメディアが複合したところにおもしろさがあります。
従来では神隠し事件の当事者は幼い子供や精神がおぼつかなくなった大人がほとんどで、仮に生還したとしてもその証言は曖昧ということがほとんどでした。
きさらぎ駅はネットを使った5chの投稿という特性により、神隠しに遭った当事者がリアルタイムで実況し、そのまま消息をくらますという新時代の怪談となっています。
神隠しの当事者という都市伝説が流行に
きさらぎ駅の一連の投稿を境に、神隠しの当事者が体験した異世界の出来事を告白するという形式の怪談が5ch内外で流行しました。
中には「異世界の文字は日本語だが、文字化けのような意味不明なカナと漢字の羅列だった」など、パソコンユーザーに想像しやすい表現が見られます。
また、休日出勤の会社で思わぬ階でエレベーターが止まり、なぜかその場に居た同僚から「この階で降りませんか?」と聞かれたものの違和感を覚えて断ったら「チッ」と舌打ちされてドアが閉まったという、神隠し未遂のようなチョイ怖小噺なども流行しました。
きさらぎ駅を扱った作品
きさらぎ駅は5ch内外で有名になっており、大手メディアで取り上げられることも多くなっています。
「裏世界ピクニック」「シンカリオンZ」などのアニメや、「やりすぎ都市伝説」「何だコレ!?ミステリー」などのバラエティ番組でも取り上げられています。
2022年には「きさらぎ駅」のタイトルで映画化されますが、同作を手掛ける永江二朗監督は、同じく5ch由来の伝説を描いた「真・鮫島事件」も制作しています。
URL:https://kisaragimovie.com/#
きさらぎ駅に迷い込んだ時の対処法
万が一、自分がきさらぎ駅に迷い込んでしまったとき、できる対処法がいくつかあります。
- トンネルをくぐらない
- 車に乗らない
- 周辺にある飲食物(もらいもの・自販機の商品など)を口にしない
- 煙草などの煙を焚く(これはネタ投稿のエピソードなので効果は未知数)
基本的にはきさらぎ駅から動かずに朝を待った方が、生還の可能性があるようです。
はすみは太鼓の音や片足のお爺さんに恐怖を感じて逃げ出してしまいましたが、その後のはすみの境遇を考えると、これらの存在は生者にとって味方であった可能性があります。
また、神隠しに遭ったときの対処法として多く言われるのは、現地の飲食物を口にしないということです。
これは黄泉戸喫(よもつへぐい)と呼ばれる行動で、異世界の飲食物を摂取することで心身がその世界に定着してしまい、元の世界に帰れなくなるという考え方です。
日本神話やギリシャ神話など世界中の伝説に似たような考え方があることから、オカルト板の住人にとっては半ば常識となっている対処法のようです。
異世界では、出会った人が積極的に食べ物をすすめてくるとも言われます。くれぐれもお気をつけを…。
まとめ
映画も公開される5ch発の都市伝説「きさらぎ駅」をまとめました。
未だ多くの5ch民の心を惹きつける伝説で、実際に迷い込んだと語る人物も後を絶ちません。
知っておくと5chがもっと面白くなる知識のひとつなので、ぜひ覚えておいてください。