こんにちは。管理人のけいすけです。
僕は、主に日本語圏・日本語話者向けの掲示板サイト(「5ちゃんねる」や「まちBBS」など)を閲覧しています。
ただし、時々、英語圏・英語話者を対象にした掲示板サイト(「4chan」「8クン」など)も閲覧することがあります。
ところで、最近、友達から、「8ちゃんが8クンに変わった理由って何?」と質問されました。
「8ちゃんという大手掲示板サイトが閉鎖され、8クンとして再出発した」というニュースを見聞きしたことはありましたが、詳しい経緯については調べたことがありませんでした。
そこで、友達から質問されたことを切っ掛けにして、「8ちゃん」から「8クン」へとサイト名が変更された事情について徹底的に調べ、調査結果をまとめることにしました!
神様からアドバイスされた通り、まずは8ちゃんの設立から閉鎖に至るまでの経緯や現在の8クンの特徴について情報を収集したいと思います。
情報収集していく中で、8ちゃんが8クンに名称変更した理由を解明し、まとめることができそうです!
記事の中では、8クン(旧8ちゃん)という巨大掲示板サイトの特徴や、名称が変更された歴史的経緯について情報が盛り沢山です。
5分で読めるので、8クンについて知りたい人はぜひ最後まで読んでください。
「8クン」の前身サイトである「8ちゃん」とは?
8クン(8kun)は、英語圏・英語話者をターゲットにした匿名掲示板サイトです。
閲覧数や書き込み数では4chanに及びませんが、数ある掲示板サイトの中では大手に分類されます。
なお、8クンの前身は、「8ちゃん」(8chan)という名称のサイトでした。
名称が変更されているものの、利用方法は殆ど変わっていません。
8ちゃんが8クンと名称変更するに至る事情をご説明するに先立って、まずは前身サイトの8ちゃんが巨大掲示板サイトへ成長していった経緯について、次の節で詳しく解説いたします。
4chanの方針に反発した住人が8ちゃんに移住した
8ちゃん(8chan)は、2013年10月22日にフレドリック・ブレナン(Fredrick Brennan)というソフトウェア開発者によって設立された画像掲示板サイトです。
数字の「8」を横にすると「∞」(無限大、Infinite)に見えることから、8ちゃんには「Infinitechan」という別名があります。
なお、創設者のブレナンは、骨形成不全症を患っており、車椅子(wheelchair)を使用していることから、「Hotwheels」というハンドルネームで活動しています。
ところで、8ちゃんが設立されて間もない2014年の夏頃から、英語話者が集うネットコミュニティー(4chanやReddit、Facebook、Twitterなど)では、「表現の自由」や「フェミニズム」を巡る大規模な論争が発生する事態になりました。
この論争は「ゲーマーゲート論争」(Gamergate controversy)と呼ばれます。
ゲーマーゲート論争では、
- 「多くのゲームは男性の視点から作られている」と批判するフェミニスト
と、
- 「ゲームにおける表現の自由は守られるべき」と主張するアンチ・フェミニスト
との間で熾烈な対立が惹起され、ネット内だけに留まらず、リアルでも論争相手への嫌がらせが行われる状況にまで発展していきました。
対立がエスカレートする中、4chanではゲーマーゲート論争に関係する議論が禁止されることになります。
これに反発した住人は、「表現の自由」を最大限に尊重し、議論を禁止しない8ちゃんへと移住しました。
なお、「表現の自由」を主張するアンチ・フェミニストの中には、「オルタナ右翼」と形容される人物も含まれていました。
オルタナ右翼は、「既存政党やマスメディアを『左派』と見なし、それを攻撃する」という点では、日本における「ネット右翼」に近い存在です。
ただし、オルタナ右翼は、ネットだけではなくリアルでも行動するため、完全に同じではありません。
このような経緯から、8ちゃんは、
右派的・白人至上主義的な書き込みが多い危険な掲示板サイト
として知られるようになっていきます。
2ちゃんねると提携し、フィリピンに拠点を移す
8ちゃんは、2ちゃんねる(2ch)とパートナーシップを結び、2014年10月にフィリピンに拠点を移しました。
なお、フィリピンにはジム・ワトキンスが在住しており、2chの管理者権限は2014年2月19日に西村博之からジム・ワトキンスに移行しています。
その後、8ちゃんのシステムに多数のバグが存在することが判明しましたが、修正に失敗。
2016年には、8ちゃん創設者のブレナンが管理者を辞任し、ジム・ワトキンスが新しく管理者に就任しました。
こうして、2ch(2017年10月1日に「5ちゃんねる」と改称)の実質的管理者となっていたジム・ワトキンスは、8ちゃんの管理者としても活動をスタートします。
銃撃事件の犯行声明が繰り返し掲載される
8ちゃんは、「言論の自由」「表現の自由」を最大限尊重しています。
そのため、時々、過激な政治思想や人種差別的な主張が書き込まれることもあります。
書き込みの多くは単なる「文章による意思表示・主張」に過ぎませんが、中には少数ではあるもののリアルに影響が及ぶこともあります。
2010年代後半には何度か「大量殺人事件の犯行声明が8ちゃん上に掲載される」という出来事まで発生しています。
以下に示すのは、8ちゃんに関連した大量殺人事件の具体例です。
- クライストチャーチモスク銃乱射事件 (死者51名、負傷者49名発生)
- エルパソ銃乱射事件 (死者23名、負傷者23名発生)
いずれも銃器を用いて無差別大量殺人を実行したものです。
2019年3月15日にニュージーランドのクライストチャーチで発生した「クライストチャーチモスク銃乱射事件」では、無防備なイスラム教徒を次々と射殺していく様子が動画撮影されており、世界中を震撼させました。
なお、犯人は、「The Great Replacement」と題するマニフェスト(声明文)へのリンクを8ちゃんに投稿していました。
マニフェストの内容は、白人至上主義的かつ反イスラム的な思想・主張でした。
そのため、8ちゃんは「オルタナ右翼の巣窟であり、危険人物が集まるサイト」として厳しい批判を浴びるようになります。
そんな中、追い打ちをかけるように、2019年8月3日にアメリカ合衆国テキサス州で「エルパソ銃乱射事件」が発生します。
こちらの事件でも、犯人は、「マニフェスト」と題する白人至上主義的な内容の文章を8ちゃん上に投稿していました。
以下、重大事件の発生を契機にして「8ちゃん」(8chan)が閉鎖され、「8クン」(8kun)に改名して再出発した経緯について解説していきます。
サイト名が「8ちゃん」から「8クン」に変わった経緯
8ちゃん(8chan)は、前述したように、大量殺人事件の犯人が声明文を投稿する場として使われたため、世界中から危険視されるようになります。
既に、2019年3月に発生したクライストチャーチモスク銃乱射事件の後、「8ちゃんは危険だ」という声が大きくなっていましたが、2019年8月にエルパソ銃乱射事件が発生した後、アメリカ国内の世論が沸騰します。
大手CDN業者Cloudflareが8ちゃんへのサービス提供を停止した
「8ちゃんのような危険なサイトを野放しにするな」という声に押され、大手コンテンツデリバリーネットワーク業者であるCloudflare社は、8ちゃんへのサービス提供を停止しました。
以下は、Cloudflare社の公式ブログ(日本語版)における「8ちゃんに対するサービスを停止する」という内容のアナウンスのスクリーンショット画像です。
(https://blog.cloudflare.com/jp/terminating-service-for-8chan-jp/より)
また、Cloudflare以外にも多数の企業が、「8ちゃんにサービスを提供しない」と宣言しました。
その結果、8ちゃんは2019年8月6日に事実上の閉鎖に追い込まれ、アクセスが不可能になりました。
下記は、「8ちゃん」の公式サイトのURLだったものですが、既に閲覧できなくなっています。
https://8ch.net/ (閉鎖済み)
サイト名を「8クン」に変更して再出発した
その後、8ちゃん(8chan)は、2019年11月に「8クン」(8kun)と改名した上で、掲示板サイトとして再出発することになりました。
(「8クン」トップページhttps://8kun.top/index.htmlより)
なお、8クンのトップページ上部には、赤字で
「Any content that violates the laws of the United States of America will be deleted」(アメリカ合衆国の法律に違反するコンテンツは全て削除される)
と記載されており、法令遵守の姿勢が示されています。
なお、「犯行声明文の投稿」を規制することになるのかどうかについては、今のところ不明です。
ちなみに、8クンは、ロシアのホスティングサービスが使われているため、アメリカ国内の世論・圧力で閉鎖に追い込まれる事態には至らないと思われます。
現在の8クンの特徴や文化、雰囲気
現在の8クンの基本情報を示すと、以下のようになります。
- サイト名:8クン(8kun)
- 管理者:ジム・ワトキンス(James Arthur Watkins)
- 利用目的:画像掲示板
- 使用言語:英語
- 掲示板の数:480個(2020年8月現在)
- トップページのURL:https://8kun.top/index.html
なお、基本的に英語でコミュニケーションが行われますが、それ以外の言語を使用できないわけではありません。
ただし、FAQやルールなどは全て英語で表記されており、住民の殆どは英語話者です。
8クンと改名したものの、管理者は同一人物であり、掲示板のレイアウト・仕様も同じままです。
そのため、住民は8ちゃん時代と殆ど同じであり、オルタナ右翼的な言説が跋扈する文化・雰囲気も変わっていません。
今のところ8クンが関係する凶悪事件は発生していませんが、オルタナ右翼の巣窟になっていることは否定できないため、今後、どのような出来事が起こるのか注視する必要があります。
まとめ
皆さんは、「8ちゃん」が「8クン」に改名した理由が分かりましたか?
僕は、ネット掲示板が好きで、「5ちゃんねる」や「まちBBS」といった日本語圏・日本語話者向けのサイトを頻繁に閲覧しています。
英語圏・英語話者向けの掲示板サイトはあまり閲覧していませんが、8クンは5ちゃんねるの実質的管理者であるジム・ワトキンスが運営している掲示板サイトなので、存在が気になっており、時々閲覧してみようと考えています。
8クンの前身サイトである8ちゃんは、表現の自由を尊重するが故に、様々な凶悪犯罪の犯行声明が投稿される場として悪用されてしまいました。
その結果、危険視され、閉鎖に追い込まれたという経緯があります。
改名して再出発した8クンが、今後どのように発展していくのか見守っていきたいと思います。