どうもこんにちは、管理人のけいすけです。
「おーぷん2ちゃんねる」という、2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)にそっくりのサイトがあるのをご存じでしょうか?
5ちゃんねるガチ勢としては見逃せない存在です。
今回はおーぷん2ちゃんねるについて調べることにしました。
神様が言うように、おーぷん2ちゃんねるはかなりの投稿が集まって栄えているサイトです。
ただのパクリでは、ここまでのコミュニティを作り上げるのは難しいかもしれません。
おーぷん2ちゃんねるの特徴や管理人などを掘り下げていこうと思います。
おーぷん2ちゃんねるってどんなサイト?
おーぷん2ちゃんねるにアクセスすると、
「こぴぺ」から「転載」までを手広くカバーする匿名掲示板群
というスローガンが表示されます。
これはおーぷん2ちゃんねるの活動方針であり、その生い立ちにも深く関係している文言です。
おーぷん2ちゃんねるは「5ちゃんねる」のパロディ
おーぷん2ちゃんねるは見た目が5ちゃんねるにそっくりですが、自ら5ちゃんねるのパロディであることを公言しています。
5ちゃんねると同様の「スレッドフロート型掲示板」であり、むしろ「完全に一致」としか思えない、5ちゃんねるとほぼ同じ構成・デザインを取っています。
大きな特徴として、投稿は全て著作権を放棄したパブリックドメインとして扱われます。
まとめブログなどのウェブサイト上で自由に転載・改変できるようになっているのです。
また、詳細に見てゆくと、本家の5ちゃんねるよりも様々な機能が搭載されています。
おーぷん2ちゃんねるのシステム
800近い板があり、各板には最新50ほどのスレッドが表示されるようになっています。
一定時間で投稿が自動消滅する「野原板」や、スレ立てのテスト用で規制が一切かからない独自のシステムの板も存在しています。
本家5ちゃんねるでは、一つのスレッドに書き込める数が1000までの制限があり、それ以上は書き込めない仕様です。
対して、おーぷん2ちゃんねるはスレッドを立てた「主」のみ1000以上(最大1010まで)書き込みを行うことができます。
また、スレッドを放置していても落ちて書き込めなくなることがないなどの細かい違いがあります。
(放置スレッドは、数週間経つと書き込んでもスレが上がらず、更に時間が経つと完全に書き込めなくなります)
様々な板
おーぷん2ちゃんねるには、様々な個性的な板が存在します。
- なんでも実況(ジュピター)@おーぷん2ちゃんねる
- おんJゲーム部@おーぷん2ちゃんねる
- ニュー速VIP@おーぷん2ちゃんねる
- ブラウザゲーム@おーぷん2ちゃんねる
- お絵描きVIP@おーぷん2ちゃんねる
「ニュー速VIP」などは5ちゃんねるでもお馴染みですね。
もちろん住人が異なるので名前は同じでも別物です。
特におーぷん2ちゃんねるの独自色が強いのが「お絵描きVIP」です。
おーぷん2ちゃんねるの投稿欄には「描く」というボタンが用意されており、それをクリックすると描画ツールが表示されます。
ツールでお絵かきをして投稿すると、描いた絵がそのままアップロードされるのです。
お絵かき板はおーぷん2ちゃんねるとしても推しているようで、メニュー画面上部に「おすすめ」として常に表示されています。
おーぷん2ちゃんねるの運営者は誰?
おーぷん2ちゃんねるの設立者・運営者は矢野さとるという人物です。
矢野氏の人となりからおーぷん2ちゃんねるに迫っていこうと思います。
矢野さとる氏は実業家兼コンテンツエンジニア
矢野氏は中高生(1990年代)の頃からパソコン・プログラミングに慣れ親しんでいたそうです。
しかし、受験期に趣味のサイト構築に没頭したことで大学受験に失敗します。
所属していた予備校と同名のドメインを取得して生徒同士のコミュニティサイトを立ち上げるも、予備校側に問題視され、退学処分を受けます。
1990年代末期から2000年代初頭にかけては、ドメインは早い者勝ちで誰でも取得できてしまっていた時期で、当該予備校を含む企業側もその重大性に気付いていなかったんですね。
予備校退学により大学受験を断念した後は、プログラマーとして地元新聞社のアルバイトを経て、ヤフー、ライブドアと転職していきました。
当時のライブドア副社長・園田崇氏の誘いを受けて株式会社ウフルのCTO(最高技術責任者)に就任。
- 「字幕in株式会社」
- 「株式会社ロケットスタート」
などの設立も行いました。
これらの経歴の合間にも、全く組織に属していない「無職」の期間が多々あり、その時期には複数のサイト(多い時には50サイト)の運営を行っていたそうです。
アウトローなイメージがあるIT業界とはいえ、著名な起業家などは大学出身者(中退を含む)がほとんどです。
その一方、矢野氏は学歴とは関係なく、ITスキル・集中力・決断力でネット黎明期を駆け抜けてきた人物と言えるでしょう。
ひろゆきやジム・ワトキンスとの関係
矢野氏は、かつての5ちゃんねる(2ちゃんねる)の管理人であった西村博之(ひろゆき)氏とも親交があります。
精力的にWebサービスを立ち上げる一方、放置や閉鎖されるサイトも多い矢野氏について、ひろゆき氏は、
「思いついたものを実装する速度はすごい。そして、実装したものを諦める速度もすごい。んで、自分で作ったものを忘れる速度もすごい」
と評したとのこと。
矢野氏とひろゆき氏の関係は非常に良好と言われており、お互いのサイトのアタックテストを行うなどしています。
おーぷん2ちゃんねるに実装した機能を、本家2ちゃんねるでも使って欲しいと要請したところ、「お、おう」「うほほ」等つれない返事しか返ってこなかったという逸話もあります。
一方、現5ちゃんねるの管理人であるジム・ワトキンス氏とも意見交換を行っているそうですが、おーぷん2ちゃんねるについては「ジムの許可は取れておらず、黙認されている」状態とのこと。
ただし、5ちゃんねるでは、おーぷん2ちゃんねるのURLを貼る事が出来ない措置が取られています。
ネットの「殺害予告」と戦う男
おーぷん2ちゃんねる以外の矢野氏の活動としては、ネット上の犯行予告を集約するサイト「予告in」が有名です。
- ネット上の犯行予告を自動収集
- 犯行予告情報を投稿する掲示板や警視庁匿名通報フォームなど通報先をまとめたリンク集
- 犯行予告に関する情報をまとめるWiki
などの機能を備えていました。
立ち上げは、2008年6月8日に発生した秋葉原通り魔事件がきっかけになっています。
当時の増田寛也総務相が「来年度予算の概算要求に、ネット上の犯罪予告を検知できるソフトの開発費を盛り込む。費用は数億円かかる」と発言した事に矢野氏が反応。
「自分ならお金と時間をかけずに開発できる」という考えから、急遽ウェブサイトを構築し、着手からわずか2時間で公開しました。
- 8日 秋葉原通り魔事件
- 11日 総務相の発言
- 12日 予告in公開
というスピード対応です。
スキルで様々な事業を成してきた経歴と、IT2ちゃんねるを愛する者として犯罪に利用するのは許せないという、矢野氏の心意気が感じられるエピソードです。
予告inについてはネットの殺害予告が大きな社会問題になっていたこともあり、ニュース番組などにも取り上げられ、矢野氏が意見を求められることもありました。
大量のネット投稿から高精度の自動検知(現在で言うところのAI)で犯罪予告を探し出そうとすると、政府の見立て通り数億円規模のシステム開発になります。
一方で予告inは、5ちゃんねる等でも日常的に行われていた「ボランティアの通報」を集約し、「人の目」から見た危険な投稿を拾い上げる人海戦術で精度の問題を解決していました。
予告inの通報がきっかけで逮捕に至ったと見られるものは20件あり、内10件は矢野氏みずから警察と連絡を取り合って逮捕に至っています。
ただし、予告inは2018年ごろにサイトが消滅し、現在は閲覧することができません。
ここら辺もサイトの放置が常態化している矢野氏らしいと言えるでしょう。
また、構想そのものは素晴らしいものですが、実際には無意味だったりふざけた通報も多く、
- かえって警察の邪魔をしている
- 可視化したことで逆に犯罪を助長している
- 私怨も多く言葉狩りになっている
などの批判もありました。
仮に同じことを国がやってしまったとしたらとんでもない不祥事になりますので、個人の有志が行った社会実験と捉えれば有益な活動だったのではないかと考えられます。
おーぷん2ちゃんねるの歴史
それでは、話をおーぷん2ちゃんねるに戻しましょう。
飽きっぽさが目立つ矢野氏にあって、おーぷん2ちゃんねるは継続的に新機能の追加などのアップデートが行われているサイトです。
開設のきっかけはジョーク
2012年6月、2ちゃんねるの投稿を転載していたアフィブログがデマを流して問題になりました。
2ちゃんねるの運営が「ハムスター速報」など一部大手アフィブログに対して転載禁止を言い渡したことも話題になりました。
これを受けて、嘘ニュースサイトの虚構新聞が「転載自由の匿名掲示板、転載ちゃんねる誕生」と2ちゃんねるをネタにした記事を掲載。
その記事を見た矢野氏がジョークとして実際に作った転載自由な掲示板が「おーぷん2ちゃんねる」なのです。
虚構新聞については、「予告in」の姉妹サイト「体罰in」が誕生したという嘘ニュースを配信したところ、矢野氏が実際に「体罰in」を立ち上げてしまったという事例もあります。
コンセプトの「自由に使える2ちゃんねる」とは?
おーぷん2ちゃんねるはジョークで作ったサイトではありますが、「転載自由」というコンセプトは嘘ニュースをそのまま踏襲していました。
本家の2ちゃんねるが転載に厳しい対応を取り始めたこともあり、アフィブログ運営者の注目を浴びることになります。
しかし、2ちゃんねるの転載問題に決着がつき、騒動が沈静化すると、おーぷん2ちゃんねるにやってきた多くの住人は再び2ちゃんねるやアフィブログに戻っていきました。
その後しばらくの間、おーぷん2ちゃんねるはさほど盛り上がっているとはいえない過疎状態に陥ります。
この間も矢野氏は、様々な独自機能を開発し掲示板に搭載していきます。
特に「お絵かき機能」はおーぷん2ちゃんねるの特徴の一つとなり、後に2ちゃんねるでも同様の機能が追加されました。
真似から始まり独自の進化を遂げるというのは、ネットでもリアルでも商売ではままあることですね。
2ちゃんねるとの関係性で利用者が増減
2014年2月までは、1日あたりの投稿数が1000件にも満たないことがほとんどでした。
3月に2ちゃんねるで大規模な転載禁止騒動が起こり、全ての板が転載禁止になると、2ちゃんねるの投稿を転載できずコンテンツ不足に悩む一部アフィブログが新たな転載元としておーぷん2ちゃんねるを利用し始めます。
その後アフィブログ利用者やアフィブログに転載されることを狙った2ちゃんねる住人、転載禁止騒動に嫌気が差した2ちゃんねる住人等が流入してきます。
その後、ひろゆき氏らが転載可能な掲示板「2ch.sc」を立ち上げるとアフィブログの多くはそちらを利用するようになり、転載禁止騒動は沈静化。
投稿数は徐々に落ち込んで行ったものの、一部の板では一定規模の人口の定着が見られ、現在では「おーぷん2ちゃんねるの住人」と呼べるであろうユーザーが存在しています。
まとめ
おーぷん2ちゃんねるについて調べてみたら、そもそも5ちゃんねるのパロディとして作られたものであり、そっくりなのはわざとであると分かりました。
その後は運営者の情熱により独自の機能が付け足されていき、5ちゃんねるとは似て非なるものになっています。
アングラな存在だったはずの5ちゃんねるがメジャーになってゆき、さまざまな制約を設けざるを得なくなったとき、「なんでもあり」という初心を突きつけたのがおーぷん2ちゃんねるであるとも捉えられますね。
覗いてみたら、案外5ちゃんねるより居心地が良いかもしれません。