最近はネット上に書き込まれた誹謗中傷などが原因で、逮捕者が出ることも珍しくなくなってきました。
そうした昨今の流れの中で、昔から多くの方に利用されている5chではどういった対応が取られているのか?というのも気になるところです。
そこで、この記事では5chの書き込みから発信者情報開示請求をおこない相手を特定するための条件やその方法をご紹介していきます。
発信者情報の開示請求をおこなう場合には、一定の条件を満たす必要があります。
しかし、その詳しい条件がよく分からないという方も多くいることでしょう。
ここでは5chの中で誹謗中傷や不利益を被るような書き込みをされた方に対して、分かりやすくその対処法を解説していきますので、ぜひ参考にしていってください。
ただ、手間や掛かる時間を考えると弁護士などに頼んだ方が良いと言えるのう
あとは法律に基づいた方法や手順を理解しておくことも大事と言えるじゃろう
5chには日々色々な書き込みが投稿されていますが、中には他人の権利を侵害するような内容のレスもあります。
こうしたレスによって不利益を被った場合には、書き込んだ相手を特定して訴訟を起こすことが可能です。
ただし、その際には相手を特定するための発信者情報開示請求が必須となります。
発信者情報開示請求を成功させるためにはいくつかの条件を満たしておく必要がありますので、その内容をあらかじめチェックしておきましょう。
5chの書き込みに対して発信者情報の開示請求はできる?その条件は?
5chを利用している人もそうでない人も、ある日突然「5ch内のスレッドに個人情報を晒される」という危険性はあります。
何かしらの原因によって知り合いから逆恨みをされて、自分にとって不都合な情報や個人情報を勝手に晒されるというのは非常に怖いことです。
また、5chではいわれのない誹謗中傷を受けて精神的なダメージを受けるということも起こり得ます。
そうしたときに知っておきたい対処法や相手を特定するための「発信者情報開示請求」について分かりやすく解説していきますので、どうぞ最後までご覧になっていってください。
5chの書き込みから個人を特定することは可能
5chは匿名性の高いネット掲示板です。
そのため、書き込んだ内容から個人が特定されるということは基本的にありません。
ただし、自ら個人が特定できてしまうような書き込み・画像のアップなどをおこなった場合は話が別となってきます。
5chではこれまでに特定班と呼ばれるユーザーたちによって、色々な人物の特定作業がおこなわれてきました。
書き込んだ内容やアップされた画像、さらにほかのSNS(5chに投稿をしたと思われる人のツイッターなど)から個人を割り出し、相手を特定するというのは5chならではの独自文化と言えます。
しかし、これはただの遊びのようなものです。
本当に迷惑な書き込みなどをされて被害を受けた場合には、法的な措置のもと相手を特定する必要が出てきます。
そこでおこなうのが「発信者情報開示請求」です。
発信者情報開示請求とは、ネット上に書き込みをした人物を特定するためのひとつの手段となります。
これは5chやプロバイダに対しておこなうものとなりますが、この開示請求が認められると書き込みをした人物が分かるわけです。
相手が特定できれば民事や刑事の訴訟・裁判に持っていけますので、慰謝料や損害賠償などの請求が出来ます。
また、他者への殺害予告やテロ行為(爆破予告など)を示唆するような書き込みをした人物を特定して、事前に身柄を拘束・逮捕することも可能です。
ということで、次はこうした「発信者情報開示請求をおこなうための条件」を見ていきます。
5chの書き込みから発信者情報開示請求をおこなうための条件
日本には「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」というものがあります。
これは通称「プロバイダ責任制限法」と呼ばれる法律となりますが、同法の4条には発信者情報を開示するためには以下の条件が必要であると書かれています。
- 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
- 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
簡単に言えば
- 被害者側に相手を訴えるだけの法的な根拠がある
そして
- 加害者に損害賠償請求などをおこなうためには情報の開示が必要である
と認められた場合に発信者情報開示請求が通るわけです。
また、こちらの法律には以下のような項目も記載されています。
- 発信者情報開示請求を受けた事業者(または個人)は発信元となった人に情報の開示をして良いか聞く
- 発信者を特定した場合、その情報を悪用してはいけない
- 発信者情報の開示請求を受けた事業者(または個人)自体が、該当する書き込みをしていた場合は責任を負うことになる
自分にとってイヤな書き込みをされたからと言って、相手が特定できた瞬間に相手の悪い部分をネットなどに書き込むと自分が訴えられる側になるかもしれませんので注意しましょう。
なお、ここまでの話をまとめると発信者情報開示請求を成功させるには「法的な根拠が重要」となってくるのですが、どんな書き込みなら相手を訴えられるのか?という部分を見ていきましょう。
発信者情報開示請求が認められる法的な根拠(条件)とは?
参考:https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20210704-00243400
発信者情報開示請求が認められる上では、請求を出す側の法的な根拠や正当な理由が重要となってきます。
そこで、5chに書き込まれたレスが原因で裁判まで行くようなケースでは「どんな法律に抵触していることが多いのか?」をまとめてみました。
- 名誉毀損罪
- 侮辱罪
- プライバシーの侵害
- 肖像権や著作権法への違反
- 脅迫罪
- 偽計業務妨害罪
- 威力業務妨害罪
5chに書き込まれた内容をもとに発信者情報開示請求をおこないたいと考える場合は、上記の法律に抵触をしていないか確認してみましょう。
一般人同士で多いトラブルは「名誉棄損」「侮辱」「プライバシー侵害」
おそらく一般人同士のトラブルで多いのは
- 名誉棄損
- 侮辱
- プライバシーの侵害
といったあたりだと思います。
名誉棄損罪・侮辱罪というのはどちらも似た内容の罪状となりますが、簡単に分けると
- 名誉棄損:事実が含まれた上で相手を誹謗中傷する行為
- 侮辱:事実が含まれないウソの情報で相手を誹謗中傷する行為
となります。
ただ、ウソの情報であっても相手の社会的な立場や地位を著しく貶めるような内容が含まれる場合は、名誉棄損罪が適用される可能性もありますので覚えておきましょう。
(名誉棄損罪の方が罪は重い)
ちなみにプライバシーの侵害とは「公開していない私生活の情報を、第三者に対して他人が勝手にその情報を広める行為」を指します。
たとえば
「〇〇さんの家の奥さんは△△さんの旦那と不倫をしていて離婚寸前である」
といった情報を他人が勝手に言いふらした場合はプライバシーの侵害となるわけです。
こうした情報を5ch内に書き込まれた場合にはプライバシーの侵害や名誉棄損が成り立つと思いますので、発信者情報開示請求もスムーズに通るはずです。
また、自分の写真や創作物などを勝手に掲載された場合は肖像権や著作権法違反にあたりますので、これも発信者情報開示請求が認められる条件に合致します。
詳しいことは弁護士へ相談するべし
このように、発信者情報開示請求をおこなうためには明確な法的根拠を提示しなければいけません。
自分がどういった不利益を被ったのかを法律に則りながら説明する必要があるのですが、難しいことが分からなければ一度弁護士に相談してください。
弁護士に相談すれば「あなたの場合は〇〇罪や〇〇違反が適用されるので、相手に損害賠償や慰謝料を請求すると〇〇円くらいにはなるはず」と教えてくれます。
必要条件を満たした上で発信者情報の開示請求をおこなう方法
ここからは発信者情報開示請求をおこなう方法とその手順についてご紹介していきます。
なお、5chの書き込みに対して発信者情報開示請求をおこなうためのステップは以下の通りです。
- 5chに対してIPアドレスの開示請求をおこなう
- プロバイダに対して個人情報の開示請求をおこなう
- 書き込んだ相手を特定し訴訟を起こす(もしくは示談)
5chは匿名のネット掲示板なので、書き込みをした人の個人情報を有していません。
そのため、
- 書き込みをした人のIPアドレスを5chに開示してもらい
- そのIPアドレスから書き込みに使ったプロバイダを割り出し
- プロバイダから書き込みをした人の個人情報を得る
というのが一連の流れとなります。
それでは、それぞれのステップで必要な情報や知識をご覧いただきましょう。
5chに対してIPアドレスの開示請求をおこなう
5chの書き込みから特定の個人を割り出し、その相手に対して訴訟を起こす場合は「5chへのIPアドレス開示請求」をおこないます。
IPアドレスとはネット上における住所のようなものです。
ネットに接続した人には必ずこのIPアドレスが割り当てられます。
5chは誰でもログインすることなく利用可能な匿名のネット掲示板です。
そのため、5ch自体は投稿者の情報を一切持っていません。
そこで必要となるのがIPアドレスです。
IPアドレスが分かれば使用しているプロバイダを把握することが出来て、相手の特定作業が進みます。
なお、5chに対するIPアドレスの開示請求は個人でも出来ますが、基本的に個人からの請求を受け付けることはありません。
これは個人情報を守るために必要な一般的な対応と言えます。
そこで、弁護士を通じて裁判所に「仮処分の申し立て」をおこなうわけです。
裁判所からの仮処分が決定すると、5ch側はIPアドレスの開示をおこなわなければいけなくなります。
仮処分が決定されIPアドレスの開示がおこなわれると、相手のIPアドレス情報が得られるので、今度はそこからプロバイダに対する発信者情報の開示請求をおこなっていきます。
プロバイダに対して個人情報の開示請求をおこなう
プロバイダは、5chに書き込みをした人の個人情報を持っています。
そのため、プロバイダに対して発信者情報の開示請求をおこなえば、書き込みをした相手の情報が得られるわけです。
ちなみにこの「プロバイダに対する発信者情報開示請求」をおこなう際にも裁判所の仮処分が必要となってきます。
なお、プロバイダには発信者が書き込みをおこなったアクセスログが保存されているのですが、このログは一定期間を過ぎると消去されてしまいます。
これを防ぐには、発信者情報開示請求の前に「発信者情報消去禁止の仮処分」を申し立てなければいけません。
つまり、5chからIPアドレスの情報を得たら、
- 次はプロバイダに対して「該当発信者の情報を消去してはならない」という申し立てをおこない、
- その後に「発信者情報の開示請求」をおこなう
ということです。
この流れに関しても弁護士に依頼をすればスムーズにおこなってくれます。
これを自分ひとりでやろうとするとかなりの労力を使いますので、素直に弁護士を頼るようにしましょう。
書き込んだ相手を特定し訴訟を起こす(もしくは示談)
プロバイダに対して発信者情報開示請求をおこない、それが認められると5chに誹謗中傷などを書き込んだ相手の個人情報が手に入ります。
この個人情報をもとにして、相手への訴訟を起こすというのが一般的な流れです。
ちなみにプロバイダに対して発信者情報開示請求をおこなうと、情報開示を請求されている相手にも連絡がいきます。
この段階で相手から示談を申し込まれることもあるようですが、示談で解決できるのであればそれでも問題はありません。
もちろん、示談ではなく社会的に罰を与えたいというのであれば、刑事や民事の裁判を起こすだけです。
相手に刑事罰と損害賠償請求の両方を与えたい場合は、両方の裁判を検討してみてください。
以上が5chの書き込みから発信者情報開示請求をおこなうまでの流れと方法です。
必要となる条件は「開示請求を裁判所に認めてもらうだけの法的な根拠」となりますが、分からない場合は弁護士などに相談をしましょう。
まとめ
5chの書き込みから発信者情報開示請求をおこなう際の条件とその手順について解説してきました。
- 発信者情報開示請求をおこなえば5chの書き込みでも相手を特定できる
- 発信者情報開示請求を成功させるためには法的な根拠が必要
- 発信者情報開示請求をおこない相手を特定するには、まず5chに対してIPアドレス開示請求をおこなう
- 割り出されたIPアドレスからプロバイダに対して発信者情報開示請求をおこなう
- 個人が特定できたら相手に対して裁判を起こす
以上がこの記事の重要ポイントとなりますので、あらためて理解しておいてください。