こんにちは、管理人のけいすけです。
みなさんは「はてなブックマーク」というサービスを知っていますか?
名前を知らない方も、ネットの色々な記事に「B!」のマークが付いているのを見かけたことがあるのではないでしょうか。
SNSの「共有」や「いいね!」と並び立ち、サイト運営者たちが集めたがっている「はてなブックマーク」略して「はてブ」について調べてみました。
はてブが広く使われている理由、サイト運営者がはてブの数を気にしている理由、はてブを運営している運営者など、はてブについて調べてみました。
調べていくうちに、実にネット全体の仕組みと相性の良いサービスであることが分かりました。ぜひ読んでみてください。
はてブってどんなサービス?
はてブとはどんなサービスなのか?
まずは、機能面を中心に見ていきたいと思います。
はてブの特徴
はてなブックマークとは、気になった記事やサイトをオンライン上に保存(ブックマーク)できるサービスです。
単純に記事を保存するだけでなく、
- Twitterと連携して友だちに共有
- 同じ記事をブックマークした人数が分かる(○○usersという形で表示)
- ブックマークにコメントを添えられる
など、ブラウザのお気に入り(ブックマーク)とSNSの中間のような特徴を持っています。
利用者のメリット
はてブは効率的な情報収集に役立つ特徴を多く持っていて、利用者のメリットが大きいです。
- 気になった記事をどんどん記録し、後で見返す
- 追加した順で並べていく掛け捨て的な運用
- 他のユーザーの評判で情報収集力アップ
- パソコンでもスマホでもどこでも使える
ブラウザのお気に入りをどんどん追加していくとすぐに満杯になって使いづらくなってしまったことはありませんか?
- 頻繁にアクセスするサイトはブラウザのお気に入り
- ちょっと気になった個別の記事ははてブで記録
という使い分けを行うと、お気に入りがスッキリ使いやすくなります。
また、はてブは追加した順に並べてくれるので、最近気になったフレッシュな話題が自動的に上の方に表示されます。
もちろん、TwitterやFacebookと同じく、古い記事ほど見つけづらくなるというデメリットはあります。
しかし、情報過多の現代においては「ここ最近の事」を見返す機会の方が多いので、はてブはそういった「一時的なメモ」のような使い方をするのに適しています。
また、自分がはてブ追加した記事に関連した、登録ユーザー数が多いおすすめ記事を見つけることもでき、情報収集の効率が上がります。
更に、はてブはユーザー名とパスワードを打ち込んでログインするSNSの側面も持ちますので、作り上げたはてブはパソコン・スマホ・タブレットなど複数の端末で共有できるという強みもあります。
以上の特徴から、はてブのトップページは、ニュースサイトさながらの情報ポータルとしても活用できます。
サイト運営者のメリット
はてブはサイト運営者にとってもメリットをもたらします。
- 注目度によるアクセス数の増加
- SEO対策や宣伝広告費の軽減
- 被リンク数の獲得
はてブの登録ユーザー数が増えると、それだけ記事が読まれるチャンスが増えます。
アクセス数はアフィリエイト収入に直結しますし、記事がバズることで他の商売にも繋がっていきます。
その為、サイト運営者たちははてブの登録数を重視しています。
名もないサイトにアクセスを呼び込むのは簡単ではなく、アクセスされやすい工夫(SEO対策)をしたり、費用をかけて宣伝することすらあります。
しかし、はてブで話題になることで、そういった苦労や費用を節約できます。
良い情報を発信すれば良い評価が集まるという「正直者が救われる」システムでもありるのです。
また、はてブは記事へのリンクがインターネット上で広く公開されるという特徴から、他からのリンクを多く受けているという意味の「被リンク数」という評価にも影響します。
インターネット上から多くの「被リンク数」を獲得していると「注目されている優良記事である」という、単純明快な評価基準があり、これもまたアフィ収入その他に繋がります。
はてブはこの「被リンク数」を比較的簡単に増やせる手段でもあるのです。
はてブの運営者は誰?
はてブの運営者は、上場企業である「株式会社はてな」です。
株式会社はてなは京都で設立した後に東京都渋谷区へ移転し、その後に東京都目黒区に営業拠点(本店)を残したまま本社を京都に再移転しています。
過去には同じ京都発祥の企業である任天堂と協業し、ニンテンドーDS用ソフトを開発したこともあります。
有名なサービスは「はてなブログ」
株式会社はてなのサービスで、はてブと並んで有名なのは「はてなブログ」です。
「はてなブログ」には標準で、はてブとの連携機能が設けられています。
同時に、はてブと「はてなブログ」でユーザーアカウントを共有している為、「はてなブログ」の運営者は自動的にはてブの使用者も兼ねています。
はてブ登録数には「自分」も1人としてカウントしてOKなので、「はてなブログ」で記事を書いた運営者は、まず自分で自分の記事をはてブに登録することが多いです。
「はてなブログ」だけを見ていると、はてブが付属品のように錯覚しがちですが、サービスの開始ははてブの方が先です。
- 2001年 株式会社はてな創業
- 2003年 はてなダイヤリー開始
- 2005年 はてなブックマーク開始
- 2011年 はてなブログ開始
かつてはブログという存在はメジャーではなく、多くの人がWeb上で「公開日記」をつけるという文化が主流でした。
2004年のエイプリルフールに、Web日記サービス「はてなダイヤリー」を「はてなブログ」に名称変更するという冗談が発表されました。
しかし、後年に「はてなブログ」は現実のものとなり、現在では株式会社はてなの主要サービスの一つになっています。
「はてなダイヤリー」は2019年に「はてなブログ」への統合という形でサービス終了になっています。
マスコットキャラは創業者の飼い犬
株式会社はてなの諸サービスで、メンテナンス中などに犬の写真が表示されることがあります。
これは創業者・近藤淳也氏の飼い犬、コーギー犬の「しなもん」で、2013年に亡くなっています。
しなもん存命の近藤社長時代には、しなもんは「会長」の役職についていました。
社員がブログで「しなもん先生」と呼んだところ、社外から「しなもん会長」と訂正コメントが入ったというエピソードもあります。
しなもん没後に近藤氏が社長退任・会長就任をした際には、しなもんの空席に就いたとして「二代目会長」を名乗るなど、周囲のしなもんへの愛を感じさせます。
はてブの歴史
はてブは2005年のベータ版リリースから紆余曲折を経て、現在では日本のWeb業界における一大プラットフォームになっています。
そんな、はてブの光と影の歴史を見ていきましょう。
新聞電子版に採用
2007年からasahi.comに「はてなブックマークボタン」が採用され、2010年時点でYOMIURI ONLINE、毎日jpなど28の大手メディアにボタンが設置されました。
池田信夫氏との攻防
はてブでは、コメント・タグに批判や罵倒が並んでサイト運営者が傷ついたり、炎上を引き起こすという、コメント欄を設ける全てのSNSが抱える構造上の問題があります。
これについて度々の批判を繰り広げたのが、経済学者の池田信夫氏です。
池田氏の矛先は株式会社はてなに留まらず、はてブのユーザーにも苦言を呈しました。
- 「はてなに集まるネットイナゴ」
- 「悪貨が良貨を駆逐する」
- 「匿名の卑怯者」
- 「暗黙の言論弾圧の装置」
こういった批判を受け、株式会社はてなはポジティブ反応に特化した評価方式である「はてなスター」を開始しました。
また、サイト運営者がmetaタグを設置すれば「コメント一覧の非表示」が出来るようにする改善も施しました。
それでも池田氏の納得は得られず、株式会社はてな非常勤取締役の梅田望夫氏への批判という形で論を展開します。
- 「チャレンジしないでストレスを飲み屋やウェブで発散するサラリーマン」
- 「(株式会社はてなは)卑怯者に『ガス抜き』のプラットフォームを与えている」
サラリーマンという表現については、はてブ利用者が「男性」「中高所得者」に偏っていたことからの発言で、現代風に言えば「余計な指摘をしてくる高齢男性」でしょうか。
こういった批判に応え、はてブのエントリーページは、はてなスターの付いた人気コメントが優先的に表示される改善が施されました。
一つ一つのコメントに対しても、良し悪しの「評価」が付けられるようになったわけです。
またtwitterやmixiなどのSNSとの連携機能を整備する要因にもなりました。
池田氏の発言もなかなか毒気が強いですが、2020年代に入って深刻化している「ネットの誹謗中傷」を予言したものとも捉えられます。
厳しい意見を受けたことで、はてブがブラッシュアップできたとも言えますね。
ビッグデータの収集と炎上
2012年3月「はてなブックマークボタン」がサイト運営者や閲覧者が気づかないうちに、行動情報の追跡(トラッキング)を始めて、無断で収集した情報を広告会社マイクロアドに販売していた事が発覚しました。
似た機能を持つFacebookのいいね!ボタンやGoogle+1ボタンなどは、クリックした時にのみアクセスログを記録するだけです。
一方、「はてなブックマークボタン」はクリックしなくても表示しただけで情報を吸い上げ、内容も多岐に渡ります。
- 過去に検索したキーワードや広告のクリック履歴
- 過去の広告表示履歴
- IPアドレス
- サイトへのアクセスした時間
- 携帯端末の固体識別情報
更に、はてブのユーザーではない閲覧者やサイト運営者にも影響が及ぶという、強力かつ広範囲なものでした。
こういったトラッキングは、サイト運営者や閲覧者の許可を得て正々堂々と行わなければなりません。
インターネット広告推進協議会や、総務省の研究会のルールでも、
- サイト運営者の同意を得る
- プライバシーポリシーを変更して閲覧者に告知する
- 同意しない閲覧者には拒否の手段を与える
などの措置が必要であるとしています。
ところが株式会社はてなは、一部の大手メディアと相談・収集対象から外しただけでトラッキングを始めてしまいました。
無断でトラッキングを行うことは機能的にはマルウェアやスパイウェアと同じで、株式会社はてなの「企業・技術者の倫理観」に対する懸念が広がりました。
IT企業にありがちな「常識がない」行動を、株式会社はてなもやらかしてしまったのです。
こうした批判を受け、株式会社はてなの代表取締役社長(当時)近藤氏は非を認め、半年間密かに続けた行動情報の収集を停止し、マイクロアドも告知と対応を行いました。
しかし、マイクロアドの広告は拒否の手続き後も「クッキーの削除やPCの変更等により、この設定が無効化されると再度蓄積が開始される場合がある」という問題を残します。
そもそも拒否する側に手間が掛かるシステムというのが非常に独善的で、これもIT企業がやらかしがちな失敗の一つです。
本来、経済活性化におけるビッグデータの収集・活用という事業は社会にとって有益な活動です。
しかし、2012年当時の株式会社はてなを含む各企業は「勝手に情報を取られる」事に対して日本人が抱く嫌悪感を、軽く見ていた傾向があります。
結果的に「無断で情報を取っている」という、上得意であるはずのネットユーザーからの批判・炎上に晒される結果となりました。
一言の了解を取ったうえで情報収集をするという「礼」を欠いたことで、日本のビッグデータ活用は大きく出遅れることになっています。
まとめ
はてブがどんなサービスで、運営者は誰なのかを深掘りしてみました。
はてブは過去に様々な問題を起こし、批判・炎上を受けながらも、その機能を向上させてきました。
現在では、大手・零細問わず様々なサイトで「B!」のボタンを見かけるようになっています。
掲示板のスレや特定の記事をウォッチするのにも便利ですので、良かったら使ってみてください。