ママスタは月間利用者数800万人とも言われるほど多くのユーザーが閲覧・投稿をおこなっているネット掲示板です。
ママスタの特徴はお子さんがいる主婦層などをメインに、女性ユーザーが大半を占めているとされるところです。
そのため、取り扱われているトピックも女性ユーザーの好みに合わせたものが多い印象があります。
そんなママスタでは他者に対する誹謗中傷が書かれることも少なくありません。
中には特定個人に対する執拗な悪質コメントが膨大にアップされることもあるわけですが、こうしたコメントをした相手に対しては「発信者情報開示請求からの訴訟」という流れが有効とされています。
近年、ネット上での誹謗中傷というのは社会問題化してきています。
そのため、いつ誰が被害者になってもおかしくありません。
そこで、ここではママスタで誹謗中傷や個人情報の流布を勝手にされたときにどういった対応をすればいいのか?ということを解説していきたいと思います。
発信者情報開示請求の仕方から訴訟を起こすまでの流れを詳しくまとめましたので、どうぞ参考にしていってください。

ママスタとは?発信者情報開示請求とは?
それでは最初に
- ママスタとは何か?
- 発信者情報開示請求とは何か?
といった基本的な情報からご覧いただきたいと思います。
ママスタは女性ユーザーの多いネット掲示板
ママスタは女性ユーザーをターゲットとしたネット掲示板で、主にお子さんがいる主婦層が多く利用しているとされるサイトです。
本来の役割としては、
- 育児に関する相談
- ママ友同士の雑談
- ライフスタイルの意見交換
といったものが挙げられるのですが、ここ数年ではそれ以外にも特定個人への誹謗中傷や悪意のあるコメントなども多く見かけられるようになっています。
なお、この背景にはママスタがストレス発散の場として活用されている点や登録不要かつ匿名で投稿ができる点が要因として考えられます。

特に匿名で投稿できるというのはある意味で「言いたい放題」の環境と言えますので、サイト上のコメントが荒れてもまったく不思議ではありません。
もちろん匿名だからこそ出来る相談などもありますので、利用者のモラルが問われるところだと思いますが、そういった環境の中ではやはり一定数の悪質ユーザーが発生してしまいます。
こうした悪質なユーザーに対して法的に対抗する手段のひとつが「発信者情報開示請求」というものです。

発信者情報開示請求をすると投稿した相手を特定できる
発信者情報開示請求をおこないそれが認められると、匿名掲示板であっても相手が誰かを特定することが出来ます。
なお、発信者情報開示請求には任意のものと裁判所に仮処分・訴訟を申し立てることによって強制的におこなうものの2パターンがあります。
とは言っても、現実的には任意で相手方に対して発信者情報開示請求をおこなってもあまり応じてくれることがありません。
そのため、ほとんどのケースにおいて発信者情報開示請求は弁護士を通じて裁判所経由でおこなわれることになります。
この際、気になるのは弁護士や裁判に掛かる費用ですが、正当な理由があり訴訟を起こせるのであれば、それらの費用を相手方に請求することが可能です。
こうしたことを踏まえるとネット上での誹謗中傷に対する訴訟というのはスピードが大事ということにもなりますので、トラブルを解決したいのであればなるべく早急に弁護士へ相談するようにしましょう。
発信者情報開示請求に該当するような書き込みについて
次に発信者情報開示請求が認められるような書き込みについて説明をおこなっていきます。
まず、発信者情報開示請求には法的根拠が必要です。
「ママスタ」や相手が利用するスマホやパソコンの「プロバイダ会社」には投稿をした人間の個人情報を守る義務がありますので、簡単に発信者の情報を開示してくれることはありません。
そこで最初に確認しておきたい点がママスタの利用規約です。
ママスタの利用規約に反していれば、ひとまずママスタに対しての情報開示請求は出来ます。
参考:ママスタ利用規約
http://mamastar.jp/info/rule_x.do
ママスタの利用規約の中から発信者情報開示請求に繋がりそうな項目をピックアップしてみました。
- 他人の名誉、信用、プライバシー権その他人格的な権利を侵害し又は侵害するおそれのある行為
- 他人の特許権、商標権、著作権その他の財産的な権利を侵害し又は侵害するおそれのある行為
- 中傷、脅迫、いやがらせ、その他経済的もしくは精神的損害または不利益を与える行為
- 民族・人種・性別・年齢等による差別につながる表現の掲載
- 暴力的、グロテスクな写真等、その他一般的に不快に感ずる画像、言語等表現の掲載
- 自殺、自傷行為、薬物乱用等を誘発・助長する恐れのある言葉、その他表現の掲載
- 他人の個人情報を収集、蓄積する行為
- その他公序良俗、一般常識に反する行為
これらに抵触している可能性があればコメントの削除や投稿者のIPアドレスを開示するよう求めることが出来ます。

ママスタがIPアドレスの開示に応じてくれた場合は、次にプロバイダに対して発信者情報開示請求をおこなうのですが、この際には法的な根拠も必要となってきます。
とは言っても、弁護士に相談をしておけば「どういった法律違反になるのか?」は教えてくれるので、その点は安心してください。
ただ、法的根拠というのはいくつか自分でも知っておいた方がいいので、ネット上でのトラブルでよく見られるケースというのを確認しておきましょう。
- 名誉棄損罪
- 侮辱罪
- 脅迫罪
こちらが主にネット上のトラブルで抵触する可能性が高い刑法です。
どれも刑事罰となりますので有罪となれば強制的な処分が下されます。
なお、プライバシーの侵害というのは民事裁判で使われるものです。
基本的にはプライバシーの侵害によって不当な扱いを受けた側が、相手側に対して損害賠償請求をおこなうというのが多いですね。
また、プライバシーの侵害と共に名誉棄損罪が加わることもよく見られます。
(刑事訴訟を起こした場合)
ネット上で誹謗中傷を受けた際は、まず上記の刑法などに抵触していないかを考えてみてください。
抵触しているようであれば弁護士を通じて裁判所に訴えを出し、発信者情報開示請求がおこなえます。
ということで、次にこうした発信者情報開示請求から裁判までの流れを具体的に見ていきましょう。
ママスタへの発信者情報開示請求の流れ
ここからは、ママスタで自分に対する誹謗中傷や個人情報の無断掲載がされていた場合の対処法を流れと共に見ていきたいと思います。
①ママスタへIPアドレスの開示請求をおこなう
まずはママスタに対してIPアドレスの開示請求というものをおこないます。
これは書き込みをした投稿者を特定するために必要な行為なのですが、IPアドレスというのはスマホやパソコンを利用している場合に必ず使われているものです。
IPアドレスはネット上での住所のようなもので、そのIPアドレスを使っているのが誰なのか?ということが特定できるようになっています。
ママスタに投稿されたコメントには、このIPアドレスがデータ上に残ります。
利用者側からは分かりませんが、ママスタ側には確実にデータがありますので、それを開示して欲しいという請求を出すわけですね。
このIPアドレス開示請求も弁護士を通しておくと個人でおこなうよりスムーズに進みます。
②プロバイダに対して発信者情報開示請求をおこなう
ママスタ側に対してのIPアドレス開示請求が認められたら、次はそのIPアドレスが使われているプロバイダに対して発信者情報開示請求をおこなっていきます。
この際にはプロバイダ会社を相手に訴訟を起こすことによって、開示が認められるようになるというのが一般的です。
先ほども軽く触れましたが、プロバイダ会社には顧客の個人情報を守る義務があります。
そのため、任意の請求ではほとんど開示を認めてくれません。
そこで裁判所から開示命令を出してもらい、強制的に情報を明け渡すよう処分を下す必要があるわけです。
この手続きが認められればプロバイダ側から投稿者の個人情報が得られます。
あとは特定した個人に対して希望する訴訟を起こすだけです。
③特定した相手に損害賠償請求を求める訴訟を起こす
裁判には
- 民事裁判
- 刑事裁判
この2つがありますが、どちらの裁判となるかは被害の内容によります。
なお、もちろん民事と刑事の両方の裁判を起こすことも可能です。
たとえば「自分の住所がネット上に晒され、それが原因でほかの投稿者から脅迫めいたコメントが寄せられるようになった」というのであれば、それらの相手に対してプライバシーの侵害による慰謝料や脅迫罪による刑事罰を求めることが出来ます。

ちなみに、ママスタに大量の誹謗中傷が書きこまれたタレントの川崎希さんは裁判を起こし、女性2人が侮辱罪によって書類送検となっています。
つまり刑事事件になったということですね。
また、ほかにもタレントの堀ちえみさんは自身のブログに悪質な誹謗中傷を受け続けたことにより被害届を提出し、女性1人が脅迫罪の容疑で捕まっています。
このようにネット上での誹謗中傷は裁判の対象になり得ますので、もしも自分がされたときには訴訟までの流れをよく覚えておくようにしましょう。
ママスタへの発信者情報開示請求をおこなう際に注意したい点
最後に、ママスタへの発信者情報開示請求をおこなう際に注意すべき点をいくつかまとめておきたいと思います。
法的根拠をしっかりと提示する
まず発信者情報開示請求というのは、法的な根拠がしっかりと提示できなければ認められないということを理解しておいてください。
これは、簡単に言えば「自分が不快と感じても、法律的に認められているのであれば訴えを起こせない」ということになります。
たとえば自分がシングルマザーだったとして、ママスタ上にシングルマザーに対する辛辣な意見があったとしましょう。
そして、その意見が自分にとって非常に不快なものだったとします。
この際に投稿者に対して何かしらの処罰を与えたいと考える人もいるかもしれませんが、こうした個人を特定していないようなコメントについては訴えを起こせる可能性が低いと言えます。
というのも、それは一個人のシングルマザーに対する意見であり、その発言は言論の自由という権利に守られているからです。
もちろんその意見が特定のシングルマザーに向けられた場合は訴訟に発展することもなくはありませんが、あまりにも大雑把な誹謗中傷というのは立件するのが難しいという現実があります。
こうしたケースも踏まえた上で、発信者情報開示請求を検討する際には「どういった法的根拠があるのか。なにを証拠として提示できるのか」を事前に弁護士へ相談してみてください。
ログの保存期間を考慮する
プロバイダに情報開示を求める場合は、ログの保存期間も考慮しなければいけません。
ログというのはプロバイダごとによって保存期間が異なります。
ちなみに、だいたい3ヵ月から1年ほどを設定しているところが多いのですが、これらの期間をすぎると誹謗中傷があったことを証明する証拠がなくなってしまいます。
そのため、相手を訴えたいと考えたらすぐに行動することが大事です。
なお、弁護士に依頼をすると弁護士から裁判所を経由して、プロバイダに対する「ログの消去を禁止する仮処分」が出されます。
ここまで進めることが出来ればログが消えてしまうこともありませんので安心です。
こうした手続きを迅速に進めてくれるということもあり、ネット上のトラブルには弁護士を使うのが有効的とされているわけですね。
総括
ママスタへの発信者情報開示請求について、その流れをご紹介してきました。
最近ではネット上での誹謗中傷でタレントが自殺するなど、社会問題にまで発展するケースも少なくありません。
そのため、被害に遭った場合はなるべく早く弁護士や警察に相談することが勧められています。
仮に自分がネット上で誹謗中傷を受けた際には、極力冷静な判断をおこなった上で弁護士などを頼るようにしましょう。
弁護士に依頼をすれば、本文中で解説した流れに沿って対処をしてくれます。
正当な権利として相手を訴えれば問題も早く解決しますので、ひとりで悩まずになるべく公的な機関を頼るようにしてください。