どうもこんにちは、管理人のけいすけです。
5chそのものはバラバラの住人が書き込むカオスですが、時たまその中から読み物として評価できる素晴らしい名作が誕生することがあります。
名作スレは外部のまとめサイトによってまとめられ、気軽に読むことができます。
そうして5chから誕生して大ヒットした商業作品もありますし、そこまでには至らずとも「ネット上で読める面白い話」のかなりの数が5ch発祥という現状があります。
最近でもどんどん名作が誕生しておるぞ
名作スレのご紹介は当ブログでも以前から何度か企画していますが、今回は既存の名作のご紹介に加え、名作スレが名作スレたる傾向も解説していきます。
アイデア次第で次の5chまとめの名作はあなたが生み出すかもしれません!是非お読みください。
名作スレの傾向
5chまとめの名作には、いくつかパターンがあります。
まずはそのパターンをご紹介してみたいと思います。
5chの住人は決して特殊な存在ではなく、社会の中に生きるごく一般的な人々です。
面白い話や興味深い話をお届けすることで、住人たちは好意的に耳を傾けてくれます。
発信者の「1」と聞き手の住人たちによって、5chまとめの名作が次々に生み出されていくのです。
ドラクエ・ドラえもん・サザエさんのパロディ
小噺の創作者にとって作りやすい題材として、ドラクエ・ドラえもん・サザエさんなど既存で、誰もが予備知識として知っているような有名作品のパロディが挙げられます。
初期設定を誰もが知っているので余計な説明が要らず、いきなりワンアイデアの発表ができる点が強みでしょう。
ファンタジー系のパロディ作品は、明確に「ドラクエ」とは言わないものの、勇者・僧侶・魔法使いといったクラス(職業・ジョブ)の名称がドラクエ準拠になっていることが多いです。
更には、同じドラクエの中でも「ドラクエ3」のイメージで語られることが多いです。
ドラクエ3は他のナンバリングタイトルと異なりキャラに明確な名前と人格がついておらず、熱血主人公の「勇者」、清楚ヒロインの「僧侶」のように、クラス名で呼び合うだけで物語が進行するため、余計な情報を入れずに作劇ができる点が便利なのです。
また、5ch民の主要な層にドラクエ3のプレイ経験者が多いことも追い風になっています。
しかし、ドラクエ3内に登場する地名・呪文・モンスター名は伏せられ(「薬草」「スライム」などの漠然とした名前は使われることがある)、敵の首領も「魔王」としか呼ばれないことが多く、個の作品としてのドラクエ臭は極力なくす事が既定路線になっています。
内容はほのぼの系から力を持ち過ぎた勇者が人々に迫害されるダーク系など様々で、近年の流行である「なろう小説」のフォーマットを20年以上前に開発したのが5chの住人です。
URL:http://anime.ja.utf8art.com/arc/dragon_quest_41.html
ドラえもんもまた誰もが知る国民的漫画であるため5chのパロディも豊富ですが、一点注意すべきなのは「ドラえもんの開発者が成人したのび太」という同人誌設定が基準になっていることが多い事です。
子供時代にドラえもんに助けられ続けたのび太が成人してドラえもんを開発するというエモ話になっていくのが基本(周囲のジャイアン・スネ夫・出木杉などが協力する友情話の展開も)です。
ただ、公式設定ではドラえもんは22世紀の時代に工場生産されている既製品(やや不良品という設定が付くこともある)で、設計者ものび太とは別人です。
のび太は20世紀(連載開始時)か21世紀(現在のアニメ設定)の人間であり、2020年代準拠で小学生から成長しドラえもんを設計・開発したとしても、22世紀までに50年以上の空白が生まれます。
ましてやドラえもんパロディが流行したのは2000年代であるため、さらに年表に20年のズレが生じることになります。
ドラえもんを深く知る人ほど違和感を覚えますが、そういった設定の矛盾には目を瞑ってパロディを楽しむのが基本の読み方です。
サザエさんやアンパンマンなど、子供から大人までよく知られた作品のパロディも人気ですが、多くはほのぼの原作の雰囲気をぶち壊すダーク系・不条理系に傾いていきます。
人を唸らせるパロディを作成するにはかなりのセンスが必要です。
凡人が調子に乗って作ってもただナンセンスになるだけで、滑って住人に叩かれるリスクが高いです。
URL:http://azeria.jp/aa.php?id=1123731518
ライフハック系
ちょっとした生活の工夫などがバズることがあります。
たとえば、5ch住民の身近な存在として、牛丼やハンバーガーなどファーストフード店での安い購入法・うまい食べ方などがクローズアップされることが多いです。
また、ビジネス系のライフハックも人気である一方、おしゃれ系のライフハックは5ch上でバズってまとめ化されることはほとんどありません。
(例外として喪男が常識人に近づくためのファッションアドバイスがバズった例がありますが、これはおしゃれというより喪男側に寄っている話題と判断できます)
そこはおしゃれ系のSNSに譲るなど、インターネット上でも棲み分けというものがあるのです。
URL:https://2chmeshi.net/archives/post-61597.html
笑える系
主に投稿者自身の面白い体験談が語られるパターンです。
人に話したくなるほどの貴重な体験がたくさん聞けるのも5chの魅力の一つですね。
ただ、5chの宿命として下ネタやエロネタ・ホモネタ、軽犯罪の話に傾くことも多いので、そこら辺の「ちょっと汚い話」を笑って流せる寛容さが読者側にも求められます。
泣ける系
主に投稿者自身が体験した大切な人(親族・恋人)との死別までの経緯や、苦労した投稿者が幸せに向かってゆく経緯が語られるパターンです。
鬼の5ch民でも思わず涙してしまう話が多く、5ch外部に目を付けられて書籍や映画などのメディアミックスが展開することもあります。
5ch史上で最も有名なエピソードは「電車男」でしょう。
怪談系
体験談・創作の両面から怪談系の投稿とそのまとめが次々に登場して人気を得ています。
古くは「きさらぎ駅」が有名ですが、当ブログでも何度もご紹介したのでさすがに今回は端折ります。
ミステリーや絶叫は常に人気があるジャンルで、特に5ch上では複数のレスに渡ってじわじわと文字情報が更新されていく小説的な恐怖が魅力です。
URL:https://apprev.smt.docomo.ne.jp/news/news-1010916/
5chまとめの名作たち!
ここからは5chまとめの新旧名作をご紹介していきます。
勇者「魔王倒したし帰るか」
http://blog.livedoor.jp/goldennews/archives/51647131.html
ドラクエパロディとしてはかなり有名なまとめの一つです。
魔王を倒し自国に凱旋してきた勇者ですが、共に旅立った戦士・僧侶・魔法使いは殉職していました。
それでもなんだかライトなノリで王や姫に語りかける勇者ですが、彼から語られた事の経緯は壮絶なもの…という内容です。
夢と冒険に溢れたゲームの世界観をぶち壊すグロ系のストーリーですが、人智を超えた魔物との攻防をリアルに分析していくとしたら…と一定の年齢を超えている「オトナ」の5ch民にとっては腑に落ちる読み応えのあるストーリーになっています。
比較的あっさり終わる勇者視点の会話劇の後に、僧侶視点の「手記」という形でより詳細なストーリーを読むことができるという2部構成になっています。
まとめ紹介サイトによっては「笑える話」に分類されていることもありますが、読後に切なくなる人もいたり、「安直なグロパロディ」と低評価を付ける人もいるなど賛否両論に分かれるまとめです。
ぜひ一読して何かを感じてください。
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」
http://elephant.2chblog.jp/archives/51629935.html
ドラえもんのパロディで、成人したのび太や出木杉が「ドラえもんを”目指した”ロボット」の研究をしているというストーリーです。
現実の2009年(スレが投稿された当時)の科学力では22世紀までにドラえもんが開発されるのは「実際無理だろ」という考察のもとに話が進行していきます。
途中で歴史犯罪者とのバトルがあるなどサスペンス要素があり、ハラハラしながら一気に読み進められるショートショートになっています。
出木杉「タイムマシンとか、実際無理だろ」
http://elephant.2chblog.jp/archives/51645436.html
上記の続編で、前作で放置されていたロシアの伏線も回収されます。
サスペンス要素は小粒になっているものの、犯人捜しの要素もあり執筆者のスキルを感じさせます。
モスバーガーのきれいな食い方教えれ
http://chaos2ch.com/archives/1311275.html
食べづらいことに定評のあるモスバーガーのきれいな食い方についての議論ですが、文章も絵もへたくそな住人たちによって全く会話が成立しません。
ライフハックの為に読むというよりは、スレ全体のカオスぶりを笑いながら眺めるスタンスが正しいでしょう。
しかし、彼らの言わんとしていることに寄り添うことで、モスバーガーのきれいな食い方が見えてくるかもしれません。
ガチホモと一緒にストーカーを捕まえたら妙なことになった
https://sanblo.com/meisaku_stokargatihomo/
ストーカー被害を会社の仲間たちと解決していく過程で、ホモと噂だった先輩がガチホモだと判明、ガチホモ無双によって事件があれよあれよという間に解決していきます。
当初ストーカー被害を受けていたと思われる同僚の恋人の女の子が実はターゲットではなかった…などサスペンス(?)要素もありますが、スレが進むごとに伏線がきれいに回収されていきます。
全編を通して鬱展開はなく、安心して笑えるまとめです。
ゲーセンで出会った不思議な子の話
http://blog.livedoor.jp/anotokino2ch/archives/30939957.html
文字通りゲーセンで出会った男女のストーリーが、投稿者である男側の視点から語られます。
泣ける話系で有名なまとめで、書籍化などもされている「ポスト電車男」といえるまとめです。
とはいえこちらも2012年の投稿なので、10年ひと昔のまとめです。またこういった名作が新たに生まれて欲しいものですね。
URL:https://www.famitsu.com/news/201309/10039786.html
ゲームの怖い噂とか教えろください
https://sanblo.com/meisaku_gamekowai/
ゲームの公式設定(という都市伝説)や、バグによって偶然発生する恐ろしい状況、ただただ怖い噂などが集まったスレです。
特定の「1」がショートショートを投稿する他のまとめとは異なり、個々の住人がそれぞれの知識を出し合う「集合知」という5ch本来の持ち味が発揮されたまとめといえます。
「ぼくのなつやすみ」の8月32日や、「かまいたちの夜」のバグシナリオなどはただただ怖いです。
女神転生シリーズの怖い噂も多々ありますが「日本最強の怨霊である平将門をゲーム内で雑に扱っているのだから仕方ない」とあまり同情を集めていないことも。
ゲームの主人公名を「ツナカユリコ」にすると不幸が起こるという都市伝説も紹介されていますが、本当に怖いのはゲーム配信も盛んになった現代で未だに「ツナカユリコ」を命名しようと考えるゲームプレイヤーが現れないという「事実」です…。
信じられないかもしれないが変な体験した
http://blog.livedoor.jp/anotokino2ch/archives/36249401.html
きさらぎ駅から連なる神隠し・異世界探訪系の投稿ですが、きさらぎ駅とは異なりリアルタイムの発信ではなく、事が全て済んだ後(という体裁?)で、短時間で一連の投稿が完了しているショートショート形式の投稿です。
生々しい異世界人との交流も描かれており、その描写に背筋が凍ります。また、異世界で撮影したという数枚の写真も添付されます。
途中から「1」の言動がおかしくなるなどさらなる恐怖が襲いますが、最終的には創作であったことが明かされます。
日本の風景としては違和感がある写真も、台湾で撮影したものであることが判明。異世界なんてなかったんや…と少しがっかりします。
と、そこまでが異世界人の情報操作である可能性も否めないのですが…。
記憶が2つあるんだが
http://world-fusigi.net/archives/4300708.html
小学校4年生の夏休みのあたりから19歳の10月まで、現代人として送ってきた人生とは別にもう一つの記憶があるという人物の証言です。
神隠しとはちょっと違った趣のある不思議話で、ホラー要素は少ないです。
(一部ちょっと怖がらせてくる場面はありますが)
もう一つの記憶の中で学習した文字が、現実にある謎の文献と一致しており、難なく解読を始める「1」という超展開に発展していきます。
まとめ
5chまとめの名作についてまとめてみました。
普段はバラバラに情報が分散してしまっているのは5chの玉に傷な部分ですが、まとめサイトの力を借りることで名作まとめを一気読みできる環境はありがたいですね。
面白い話から不思議な話まで多岐にわたり、5chの情報量の凄まじさに圧倒されます。これだから5chはやめられません。